核兵器禁止条約採択から3年 38カ国・地域が批准 発効近づくも、いまだ溝深く

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核兵器禁止条約の署名、批准国・地域、核保有国、「核の傘」国の一覧

 核兵器の開発から保有、使用、威嚇まで全面的に禁じる「核兵器禁止条約」が2017年に国連で採択され、7日で3年になる。6月30日現在、38カ国・地域が批准し、発効に必要な50カ国・地域に近づいている。機運を高めようと、被爆者らは署名活動を進め、市民団体なども自治体や国会議員へのアンケートを通じて働き掛けを強めている。一方、米ロなど核保有国をはじめ、日本など同盟国から核抑止力の提供を受けている「核の傘」国は条約に反対し続けており、条約推進国との溝は深いままだ。
 核兵器禁止条約は2017年7月7日、122カ国・地域が賛成し採択された。前文に「被爆者の受け入れ難い苦しみに留意する」と明記。各国に採択を働き掛けた非政府組織(NGO)の核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は同年のノーベル平和賞を受賞した。条約の背景には、今年で発効50年の核拡散防止条約(NPT)を巡る非核保有国の不満がある。
 NPTは米国、ロシア、英国、フランス、中国の5カ国に核兵器の保有を限定し、核軍縮交渉を義務付けているが、動きは鈍い。昨年は米ロの中距離核戦力(INF)廃棄条約が失効するなど逆行した動きもある。NPT未加盟のインド、パキスタン、イスラエルは核保有国となり、同じく核を保有する北朝鮮はNPTからの脱退を宣言した。
 近年はNPTの枠外で核軍縮を考える動きさえある。米国は「核軍縮のための環境創出」、スウェーデンは「飛び石アプローチ」と銘打ち、各自で有志国と議論しているが、まだ目立った成果は示されていない。
 核禁条約を巡っては、オーストリアなど推進国が「NPTを補完する」とする一方、米ロ英仏中は「NPTを否定する」と主張し、認識に大きな隔たりがある。「核の傘」にある北大西洋条約機構(NATO)諸国をはじめ、被爆国の日本も条約に背を向けており、安倍晋三首相は「現実の安全保障を踏まえていない。国際社会を分断している」との見方を示す。
 事態が混沌(こんとん)とする中、核禁条約は81カ国・地域が批准の前段階に当たる署名を終え、うち38カ国・地域が批准した。50カ国・地域が批准して90日後に発効する。
 発効まで時間の問題とみられているが、長崎大核兵器廃絶研究センターの中村桂子准教授は、核禁条約で世界がまとまるのは「理想だが、当面はない」と冷静に分析。国際社会は核の近代化や核戦争という現実のリスクに対処しながら、同条約で「じわじわ世界を変えることが必要だ」と指摘する。

核兵器を巡る国際情勢の推移