4連敗中の阪神、得点力不足の打開策は? “線”にならない打順の組み替えも一手

阪神のジェフリー・マルテ(左)と梅野隆太郎【写真:荒川祐史】

1試合平均2得点と深刻な得点力不足にある阪神

新型コロナウイルスの感染拡大で約3か月遅れで開幕を迎えたプロ野球。各球団12試合(広島とヤクルトは11試合)を消化し、早くも球団ごとの明暗が分かれ始めている。

セ・リーグでは巨人が首位に立つ一方で、阪神が2勝10敗の借金8と大きく躓いている。いきなり開幕3連敗を喫すると、2つの白星を挟んで、3連敗、4連敗となかなか浮上のキッカケが掴めないでいる。

阪神の不振の原因はもちろん1つではない。12球団ワーストの得点数で貧打は深刻。さらに、昨季までチームを支えてきた自慢の投手陣も苦戦中だ。失点数もリーグワースト、特に救援防御率7.82は昨季とは比べものにならない数字になっている。

ただ、やはり点を取らなければ、勝てないというのが野球の常だ。12試合を終えた時点で、わずか24得点は12球団でダントツに少ない。1試合少ない広島(51点)、ヤクルト(50点)の半分に満たず、12球団トップの楽天(79点)の3分の1以下だ。1試合平均2点では投手陣にとっても苦しいと言わざるを得ない。

ここまでの阪神の主な打線の並びは以下の形になる(数字は打率、出塁率の順)。

1(中)近本光司 .149 .216
2(二)糸原健斗 .189 .268
3(右)糸井嘉男 .317 .404
4(三)マルテ .279 .347
5(一)ボーア .184 .279
6(左)サンズ .143 .279
7(遊)木浪聖也 .172 .172
8(捕)梅野隆太郎 .321 .367
9(投)

主に1、2番に入ってきた近本、糸原の状態が悪く、頼みの糸井の前に走者を置けない状況になっている。これでは打線の繋がりも生まれない。例えば、初回。2死で糸井が出塁したところで、そこからマルテ、ボーア、サンズが立て続けに打つ確率は高くない。

さらにボーア、サンズ、木浪と打率1割台の打者が3人並ぶ。梅野が3割を超える打率を残しているが、これでは梅野の打力が完全に孤立している。梅野は2日の中日戦で6番に入って2安打しており、梅野をうまく“打線”に組み込むことも打線構築の鍵となりそうだ。

並びが“打線”になっていない阪神のこれまでのオーダー

阪神の打順別打率、出塁率も見てみよう。

1 打率.191 出塁率.255
2 打率.143 出塁率.192
3 打率.366 出塁率.480
4 打率.196 出塁率.224
5 打率.195 出塁率.327
6 打率.163 出塁率.217
7 打率.159 出塁率.159
8 打率.257 出塁率.366
9 打率.158 出塁率.200

総じて打撃成績は低いが、見て分かるように高打率の打順が続かず、線にならずに分断されている。これをいかにして線に繋げて、少しでも得点効率を上げることが必要ではないだろうか。現状で主にスタメンを張る選手以上に期待を抱かせるほどの存在がいないのも事実。今いるメンバーの中で、打線をどう組むか、になるだろう。

現状の阪神で出塁率やOPSを見た時に期待値が高いのは梅野、糸井、マルテ、そして初ヒットの出た6月24日のヤクルト戦以降、打率.318を打っているボーアあたりか。この面々を並べて“線”にして上位に固めるのも一手ではないか。

例えば、こんな打順はどうか。

1(右)糸井嘉男
2(三)マルテ
3(捕)梅野隆太郎
4(左)大山悠輔
5(一)ボーア
6(中)近本光司
7(遊)木浪聖也(北條史也)
8(二)糸原健斗(上本博紀)
9(投)

明らかに下位打線は弱くなってしまうが、現状はとにかくいい打者に数多くの打席が回り、そして打者が“線”になることが何よりも大事だ。大胆な起用、打順の組み替えをやって、カンフル剤として期待するのもアリではないだろうか。(Full-Count編集部)

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