行政にヘイト根絶求め要請文

 川崎市で繰り返されているヘイトスピーチ(差別扇動表現)に反対する「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」は27日、差別デモ根絶のための対策を講じるよう市と市議会に要請した。

 市内では在日コリアンの排斥を唱える差別デモが川崎駅周辺を中心に2013年5月から11回実施されている。その実態調査を含む基本行動計画を策定し、反差別の姿勢を明確に打ち出す決議「川崎宣言」を行うよう求めた。23日に約300人が集まった市民集会で決議されたもので、砂田慎治副市長、石田康博市議会議長のほか市議会各会派に要請文を手渡した。

 市役所を訪れた代表の関田寛雄・青山学院大名誉教授(87)は「共生の街づくりという川崎で積み重ねられてきた伝統と誇りが差別集団に踏みにじられている」と強調。在日コリアン集住地域の市南部で暮らす1世の趙(チョウ)良葉(ヤンヨプ)さん(78)も「あのデモを見聞きすれば心に大変な傷を負う。行政として根絶する運動を起こしてほしい」と求めた。

 在日3世で2児の母親である崔(チェ)江以子(カンイジャ)さん(42)は、市が東京五輪に向け英国のホストタウンになり、子どもたちと海外選手の交流が始まっていることに触れ、「一方で生活者である在日コリアンにひどいヘイトデモが行われている。この街で共生の心を育まれてきた子どもたちは、大切な家族や友だちが脅かされ、ショックを受けている。人権を尊重する教育行政の中で、子どもたちを守る取り組みをお願いしたい」と訴えた。

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