今回の大雨で熊本県では多くの死者・行方不明者が出ています。そのうち、浸水した特別養護老人ホームでは、心肺停止の状態で見つかった入所者と見られる14人の死亡が確認されました。去年の「堤防決壊」で浸水した長野市の老人ホームの関係者は「想定以上のことを覚悟し、早めに避難するしかない」と改めて気を引き締めています。
熊本県球磨村では、球磨川が氾濫し特別養護老人ホーム「千寿園」が浸水。入所者と見られる14人が心肺停止の状態で見つかり、死亡が確認されました。急な浸水でいわゆる「垂直避難」が間にあわなかったとみられています。
去年10月の千曲川の堤防決壊。長野市の特別養護老人ホーム「りんごの郷」も同じようにな浸水被害を受けました。
(去年10月)りんごの郷・千野真施設長:
「“ゴー”っていう音だけは聞こえた、決壊した時には。(Q.すごい音)怖い、聞いたことのないような音。この段階では(避難は)無理だろうと、何かあってもと、『垂直避難』を考えた」
越水が始まった深夜1時頃、87人の入所者を2階に避難させました。
りんごの郷・千野真施設長:
「当時はまだ電気が動いていたので、寝たきりの人はベッドのままこちらのエレベーターで2階に」
その後、1階は水没。2階に移った入所者はヘリやボートで救助され、犠牲者を出さずに済みました。施設は今も復旧工事中で、職員や入所者は系列の別の施設で過ごしています。
今回の熊本の被害に千野施設長は、改めて避難の難しさを感じています。
りんごの郷・千野真施設長:
「最大限おやりになったんだろうけど、それを上回るというか想定以上の雨なのだろう。あらかじめそういうこと(想定以上)も想定しながら普段から(訓練を)やっていかなければと思いました、改めて」
千野施設長は想定以上のことが起きることを予測し、今後は、より安全な「早期の立ち退き避難」を視野に入れたいとしています。
りんごの郷・千野真施設長:
「危険レベル3、4を待ってとなると難しいんです。夜とか、暗くなってからの避難は、特に高齢者なので難しくなってしまうので、できるだけ日中に避難するように変えていかなければ。私どもも(被災を)経験する中で、これからは1日でも前の日でも早めに避難していかざるを得ないと思っています」
「リンゴの郷」は今年中には元の場所で再開する見込みで、引き続き防災・減災に努めたいとしています。