甲子園につながらない大会 秋の王者・近大高専が決めた目標

11日に、夏の高校野球三重大会に代わる独自大会三重県高校野球夏季大会が開幕します。

注目校の一つ、近畿大学工業高等専門学校。

去年、秋の県大会で初優勝を果たし、春の選抜高校野球の21世紀枠東海地区代表に選ばれていた名張市にある近大高専。

21世紀枠から落選し、高専初の甲子園出場の夢を夏の大会にかけていました。

史上初の春夏連続の甲子園中止に重阪俊英監督は「残念ながら選考漏れにはなったが、その経験があるからこそ甲子園に絶対に行くんだという思いでやってきた。今年の大会が中止になったことを非常に残念に思う」と悔しさをにじませました。 

田島大輔主将は「やっぱり、ただただ悔しいというだけ。そこの舞台に行く、お父さんお母さんを連れて行く、このチームで行く、色んな思いがあった。甲子園に行くことを目標にしていたのが直前に消えてしまうとなると凄く悔しかった」と言葉をつなぎました。 

三重県高校野球連盟は独自大会の開催を決定。夢の甲子園にはつながらない大会。

秋の王者・近大高専が決めた目標は優勝でした。

「自分たちがこれまで2年半頑張ってきたものを最後にいかす場面でもあるし、やっぱり後輩たちに残していかないといけない部分もある。優勝というただ一つの目標を目指して頑張っていきたい」と田島主将は決意を語りました。

近大高専野球部の3年生は大半が関西や関東など県外の出身。

4月からの臨時休校中は帰省による感染の危険があることから多くが寮に残り、学校でウエイトトレーニングやティーバッティングなどに励みました。

休校中のトレーニングで力強さを増したのが、大阪出身の白石晃大選手(3年)。

秋は投打にわたり初優勝に貢献したチームの要は、独自大会に向けて両親への感謝を話しました。

「甲子園がなくなった時は、両親が一番声をかけてくれた。夏の独自大会が決まった時も一番声をかけてくれたので、すごく心の支えになった。自分の最速は142キロなのでそれを上回るような内容も含めたピッチング。打者では公式戦でHRを打ったことがないのでHRを打てるように頑張る」 

同じく大阪出身で秋のエース箕延寛人投手(3年)は、休校中のトレーニングでストレートの球速を上げて大会に臨みます。

「三重県で負けていないのは僕らだけなので、最後も勝って三重県負けなしで終わりたい」と決意を語りました。

甲子園出場の夢を失いながらも再び前を向いた近大高専。

目指すは優勝。未来につながる勝利です。

田島主将は「僕たちの学年が見本になれるよう、後に甲子園へ行くチームが僕たちを目標にしてやってくれる学年にしたい」と話しました。

重阪監督は「このような状況の中で落ち込むこと、下を向くことが多かったが、そこから学び、強い気持ちを持つことによっていつも以上に輝きは増すと思う。この3年生のために何かを残してあげるという一心でこの子たちと向き合い一緒になって戦っていきたい」と語りました。

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