円形脱毛症は遺伝? 東海大と順天堂大、原因遺伝子を特定

東海大学(伊勢原)

 東海大学総合医学研究所(神奈川県伊勢原市)の岡晃講師と順天堂大学(東京都)の池田志斈(しがく)教授らの研究グループは7日、円形脱毛症の発症リスクを高める原因遺伝子の一つを世界で初めて特定したと発表した。これまで不明とされてきた円形脱毛症の発症メカニズムの解明と治療法確立につながると期待されている。

 研究グループは、円形脱毛症の患者と健常者計約700人の血液のゲノムDNAを解析。「CCHCR1」と呼ばれる遺伝子で異なるタイプが存在することを発見した。CCHCR1を構成する約750個のアミノ酸の配列のうち、587番目の配列が通常のアルギニンではなくトリプトファンに置き換わっていた。

 塩基配列の違いは、健常者が5%なのに対し、脱毛症患者は15%で確認。脱毛症はストレスなど複数要因で発症するとされるが、遺伝子の塩基配列のタイプによって発症リスクが約3倍となることが明らかになった。岡講師は「配列の異常は数千年前に突然変異によって引き起こされたものが遺伝によって広がった」と説明する。

 研究グループは同じ塩基配列をゲノム編集したマウスで再現したところ、同じように脱毛症の症状が現れた。岡講師は「実験動物で再現できたことは世界的にも画期的。遺伝子の解析や治療法の開発で研究の幅が広がる」と強調している。

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