東京で開始「ワタミデリバリー」 陰で支える諫早のコールセンター 大都市圏での感染拡大を背景に、地方分散型への転換 試金石に

ワタミの新事業「ワタミデリバリー」を支えるオペレーターたち=諫早市津久葉町

 新型コロナウイルスの影響で自宅などでの食事(中食)の需要が高まる中、外食チェーン「ワタミ」(東京)は今月から、自社の飲食店料理を宅配する「ワタミデリバリー」を開始した。実は、新事業を陰で支えるのが長崎県諫早市のコールセンター。東京・大田区の店舗への注文を同センターで受け、店舗は調理と配達に特化する分業制を導入。同社は大都市圏での感染拡大を背景に、一極集中型から地方分散型の業務スタイルに転換させる試金石と位置付けている。
 同社のコールセンターは諫早市と岩手県陸前高田市の2カ所。諫早では約40人のオペレーターが毎日、店舗や高齢者向け宅配弁当の予約などに対応。今回の新事業も担当する。
 デリバリー事業は、肉厚な唐揚げと卵焼きの「から揚げの天才」とオリーブオイルベースのオイルで鶏肉を揚げた「bb.q(ビービーキュー) オリーブチキンカフェ」。各店舗に電話すると、諫早センターのオペレーターが注文や配達先などを聞き、パソコン端末に情報を入力。各店舗は送信された情報を基に調理、配達する。
 諫早宴会受付センターの長谷川洋史センター長は「電話対応のプロが集まるセンターに注文を一元化することで、店舗スタッフが調理に集中し、より早く安全に商品を届けられる」と分業化のメリットを語る。
 同社によると、コロナ禍による外出自粛が続いた5月、オリーブチキンカフェのデリバリー売上高は3月に比べ倍増。売り上げ全体のデリバリー比率は同カフェが4割、から揚げの天才が1割。同社は「成長が見込める事業。東京の店舗業務を九州で支えるという働き方は、今後も進んでいく」とみている。

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