泥と廃棄物の撤去本格化 浸水被害の大村 営業継続に困窮の声も

浸水被害を受けた店舗内の整理をする関係者=8日午前9時20分、大村市皆同町の「旬の里」

 6日から7日にかけて記録的大雨に見舞われ、浸水被害が相次いだ長崎県大村市。8日は天候に恵まれ、市民は住まいや仕事場の泥を取り除いたり水没した廃棄物を処理場へ持ち込んだりして、復旧作業が本格化した。
 佐奈河内川と郡川の護岸の決壊などで濁流に襲われた福重地区。皆同町の産地直売所「旬の里」には8日朝から出品者や職員らが続々と詰め掛けた。
 6日の大雨では店内に腰の高さほどの濁流が押し寄せ、冷蔵庫が浮いた。店内は泥にまみれ、店の外に増築したトタンの壁(高さ約2メートル、幅約4メートル)は流された。
 店では地元の農家ら約50人が野菜や果物、雑貨などを販売。出品を生きがいにしている高齢者もいるという。仙波隆代表(57)は「続けたいが、経済的には苦しい」とうつむいた。
 大上戸川が氾濫した西大村地区。床に浸水したマックスバリュ大村諏訪店(上諏訪町)では清掃作業が続いた。駐車場の大半が泥や草で覆われ、作業員らが除去に汗を流した。
 市環境センター(森園町)には災害廃棄物が持ち込まれ、泥だらけの木材や瓦、家財道具などを荷台いっぱいに積んだトラックが行き来した。8日は40件1万7240キロを受け入れた。災害廃棄物の処理は無料だが同センターに事前連絡が必要。複数の市民からは高齢者を気遣い「持っていくのは大変。回収してもらえれば助かるが」との声が聞かれた。
 休校となった市立小中学校では、教職員らが通学路の安全を点検。市教委によると、アスファルトがめくれたり側溝が崩れたりするなどの被害を確認したが、登校に支障はなく、9日から通常通り学校を再開させる。市は市民から罹災(りさい)・被災証明書の申請も受け付けており、8日は計11件あったという。

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