メジャーの満塁男 vs おかわり君 日本の満塁男は凄かった

昨年、パシフィック・リーグの打点王に輝いた中村剛也(埼玉西武)は満塁時の35打席で32打数17安打、打率.531、4本塁打、49打点という驚異的な成績を残し、通算満塁本塁打を20本の大台に乗せた。「おかわり君」こと中村の、この驚異的な満塁男ぶりを上回る打者はメジャーリーグに存在するのだろうか。過去の成績をさかのぼり、メジャーの満塁男と中村を比較してみよう。

まず手始めに、満塁本塁打の本数を比較してみよう。日本プロ野球史上最多となる通算20本のグランドスラムを放っている中村だが、メジャーではアレックス・ロドリゲス(25本)、ルー・ゲーリッグ(23本)、マニー・ラミレス(21本)の3人が中村を上回る本数を記録している。単年では1987年のドン・マティングリーと2006年のトラビス・ハフナーが記録した6本が最多。一方の中村は2015年と昨年の4本がシーズン最多である(日本のシーズン記録は1950年の西沢道夫による5本)。

では、シーズン記録に目を移そう。昨年のメジャーでは、ジャッキー・ブラッドリーJr.(レッドソックス)とJ・T・リアルミュート(フィリーズ)の24打席が満塁時では最多だった。2ケタの安打を記録したのはウィルソン・ラモス(メッツ・11本)とDJ・レメイヒュー(ヤンキース・10本)の2人だけ。打点はマイク・トラウト(エンゼルス・26打点)が最多。中村の35打席、17安打、49打点という数字がいかに異常であるかがよくわかる。

データサイト「Baseball-Reference」で打者の状況別打撃成績のデータが完全に揃っている1973年までさかのぼっても、満塁で35打席以上の打者は2000年のデービッド・セギー(39打席)と同年のジョン・オルルド(36打席)しかいない。両者とも150試合以上に出場しており、135試合で35打席という中村の満塁からの愛されっぷりは異常だ。

安打数では1992年のマイク・デベロー、1996年のブライアン・ジョーダン、1999年のトッド・ジールが記録した13安打が最多。デベローは打点部門でもトップの数字(38打点)を記録しており、29打席で25打数13安打、打率.520、2本塁打、38打点という好成績を残しているが、いずれの部門でも中村に及ばない。

近年のメジャーで中村に匹敵するレベルの満塁男と言えるのは、2009年のアルバート・プーホルスくらいだろう。この年のプーホルスは21打席で17打数10安打、3二塁打、5本塁打、35打点、OPS2.171という凄まじい成績を残した。なお、打率だけを見れば前出のジョーダンが24打席で19打数13安打、打率.684という驚異的な数字をマークしている。

質と量のバランスを考えると、昨年の中村は日米球界を通して史上最高クラスの満塁男ぶりを見せたと言っても過言ではないだろう。ロドリゲスの通算満塁本塁打記録まであと5本。ここまできたら記録更新を期待せずにはいられない。

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