横田めぐみさんの漫画 15年ぶり復刊! 拉致事件を風化させないために。

「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」の代表を務めていた横田滋さんの訃報は悲しみと衝撃をもって伝えられた。 拉致された娘のめぐみさんとの再会はかなわぬまま帰らぬ人となった滋さんの無念を思い、 多くの人が胸を痛めたことだろう。

めぐみさんの拉致事件とその後の横田家を描いた漫画がある。 15年前の2005年に発売された、 北朝鮮拉致事件ノンフィクションコミック『めぐみ』(前後編)がそれである。 横田滋さん早紀江さんが原作・監修を務めた同漫画は、 徹底した取材により、 誇張やフィクションを一切排し、 事件発生当時からの四半世紀を越える横田家の絶え間のない苦闘とその事件を究明していく者たちを描いた怒りと悲しみの記録である。

『めぐみ』が『漫画アクション』に連載されていたのは、 拉致問題が大きく動き始めていた時であった。 北朝鮮は、 横田めぐみさんが死亡した証拠として、 めぐみさんの「遺骨」を日本政府に提出した。 しかしDNA鑑定の結果、 別人のものと判定。 そんな最中、 横田滋さん早紀江さん夫妻が、 なんとしても解決への次なる糸口の一つとして刊行されたのが同漫画だった。

刊行当時の記者会見で、 滋さんは「めぐみは漫画が大好きで、 よくイラストを描いていた。 本人もまさか自分が漫画に登場するとは思っていなかったはず。 帰ってきたら『めぐみはこんなふうに描かれたんだよ』と教えてあげたい」と話していた。

発行元の双葉社は、 『めぐみ』(前編)のamazon(Kindle)での無料公開を7月31日まで行っているが、 横田早紀江さんと相談し、 滋さんの遺志をしっかりと繋ぐためにも「北朝鮮による拉致事件」というものがどういったものだったのかということを若い世代にも知ってもらい、 その解決への新たな一歩になればと、 あらためて15年ぶりの「紙版」による漫画『めぐみ』の復刊を決めた。

この漫画が拉致問題解決の一助となることを願わずにはいられない。

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