川崎市上下水道局主任が申請書類放置 類似はんこで勝手に決裁

川崎市役所

 川崎市は10日、水道料金や下水道使用料の福祉減免制度を巡り、上下水道局中部サービスセンターの男性主任(55)が申請を処理しなかったり、遅れたりしたほか、決裁印に類似したはんこを購入して押印するなどし、勝手に決裁していた、と発表した。未処理や処理遅延は108件に上り、減免申請の書類の大半に類似のはんこが押されていた。市は有印公文書偽造の疑いもあるとし、刑事告訴について「県警と相談した上で慎重に検討する」としている。

 市によると、主任は現在の職場や南部サービスセンターに所属していた際、減免申請56件、減免廃止17件、水道休止などの手続き35件を処理しなかったり、処理が遅れたりした。減免申請は計21万4217円を還付する必要があり、減免廃止は計6万4872円を徴収できなかった。申請書類は2019年度後半のものが大半という。

 南部サービスセンターの後任職員が今年6月、机などから未処理や処理遅延の書類を発見し、発覚した。

 市の聞き取り調査に対し、主任が上司3人の不在時に決裁印を持ち出したり、類似したはんこを購入したりして押印し、決済していたと説明。類似のはんこで適正期間に処理された案件も350件に上るという。上司には虚偽の進捗(しんちょく)状況を報告していたといい、「仕事が遅れ気味で手伝ってくれと言いづらかった。(事実を)報告すると指導されるので虚偽の報告をした」との趣旨の釈明をしたという。

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