コロナ大仏が車で全国行脚? 今、冗談のような計画が現実になろうとしている

写真はイメージです

コロナウイルスの感染拡大、第2波とも思えるような感染者数の増加に世の中の不安は治りません。

科学や医学は、世界中の智恵を動員しながらその抑止に努めています。それでも止まない不安に、日本の伝統とも言えるあるひとつの動きが興り、現実味を帯びはじめています。

緊急事態宣言の真っ只中にあった5月。ある企画ページが立ち上がりました。

それは「コロナ大仏造立」のクラウドファンディング。はじめは何かの洒落かとも思われそうですが、この旗振りをしている風間天心氏は曹洞宗の僧侶であり、大マジです。

企画は2段階にわかれており、その第1弾はコロナ大仏建立のために、全国を法要して回る「勧進キャラバン」に資金集め。イメージ図によるとキャンピングカーに仏像を乗せて、移動サーカスのように全国をめぐるようです。突拍子も無い発想に思えるかもしれませんが、実はこれ、日本伝統の資金集めの方法なのです。

全国にあるお寺の多くで「行基」という名が見られます。行基とは奈良時代の僧侶で、大仏や寺院の建立ばかりでなく、道路や橋などのインフラ整備まで手がけた人物。彼は全国を法要しながら行脚し、それらの資金を集めていました。

今回の企画も、その活動からヒントを得ているとのこと。このクラウドファンディングの目標額は300万円。無宗教と言われる現代日本にあって、そんな巨額を集めるのは困難に思われました。しかしなんと、たった1ヶ月後の6月末時点で380万円以上(支援者のべ336人)もの支援が集まったのです。

そもそも「なんでコロナ不安に対して大仏なのか」と思われる向きもあるかもしれません。しかし実は、あの奈良の大仏も疫病不安の払拭をひとつの目的として建立されているのです。

教科書で教わる大仏建立の理由は「鎮護国家」とされていますが、その裏には社会不安がありそれを鎮めて安定した国家を作るという背景がありました。社会不安のひとつが、目に見えない広がりを見せていた感染症である天然痘。聖武天皇のもとで政治の中心的な役割を担っていた、藤原武智麻呂らがこの感染症にかかって相次いで病死し、まさに病魔が国家までをも揺るがす脅威になっており、その不安を拭うために奈良の大仏が建立されたのです。

そうして考えると、日本ばかりでなく世界を覆い尽くそうとしているコロナウイルスの感染拡大に対し、大仏を建立するという発想は決して突飛なものではありません。

建立される大仏は、病気平癒にご利益があるとされる薬師如来なのか、亡くなった人を美しい極楽浄土に迎え入れる阿弥陀如来なのか、それともまた別のものか。設置場所や大きさ、尊格の種類については勧進キャラバンの中で、人々と対話をしながら決めていくとのこと。

数年後の日本に、巨大なコロナ大仏が私たちを見守っている景色が誕生しているかもしれません。(文◎Mr.tsubaking)

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