映画「祈り」 被爆の傷テーマに 松村監督が知事に完成報告

モニター画面に映画「祈り」のダイジェスト映像を映しながら報告する松村監督(右)=県庁

 昭和30年代の長崎を舞台に、長崎原爆による被爆とカトリックの信仰について描いた映画「祈り」が完成した。10日、松村克弥監督(57)が中村法道知事を表敬訪問し、「(被爆の傷など)今も訴えてくる深いテーマがあり、私にとっての代表作になった」と報告した。
 長崎市出身の劇作家、故田中千禾夫(ちかお)(1905~95年)の戯曲「マリアの首」が原作。原爆で壊滅的被害を受けた旧浦上天主堂の取り壊しに伴い、撤去の動きがある被爆マリア像を守ろうとするカトリック信者の女性らを描いた作品で、映画化は初めて。主演は高島礼子さん、黒谷友香さん。主題歌は同市出身のシンガー・ソングライターさだまさしさんの「祈り」。
 松村監督は被爆マリアが話す「天の声」を、自らも被爆した同市出身の歌手・俳優美輪明宏さんに依頼し快諾してもらったことなどを報告。中村知事は「多くの方々に作品を見てもらい、平和への思いを共有していただければ」と話した。
 「祈り」は来春以降に長崎で先行上映後、全国公開される予定。

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