熊本支援行きたいが… ”隣町”の西諸地域住民思い阻むコロナ

 豪雨による球磨川の氾濫で熊本県南部に甚大な被害が出てから1週間がたった。同県人吉市などでは11日も復旧作業が行われているが、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、災害ボランティアセンターでの受け付けは同県在住者に限定されている。「何か力になりたい」。西諸地域の住民は”隣町”に駆け付けられないもどかしさを抱えながらも、物資提供など今できる支援を模索している。
 「現地に行きたいが、感染症拡大の恐れがある現状では仕方がない」。えびの青年会議所理事長の大門哲也さん(38)は率直な思いを明かす。今は人吉市に送る水やマスクなどの救援物資を集めており、「現地に行ける状況になれば、会員たちとできる範囲でサポートしたい」。
 若い世代も支援ができない心苦しさを感じている。えびの市・飯野高2年の今里尽さん(17)は人吉市の豪雨被害から数日後、同じ思いを持つ生徒たちを代表し、「困っている人たちの力になりたい」と教諭に申し出た。しかし、ボランティアとして参加できないため、今後募金活動を行うという。梅北瑞輝教諭(41)は「本当は生徒の思いを尊重し、すぐにでも行かせてあげたいのだが…」と唇をかんだ。
 個人のつながりで復旧作業を手伝う人からは、人手不足を指摘する声も。小林市の会社経営碕山裕和さん(68)は8日、2階まで浸水した人吉市の知人の事務所に駆け付け、家具を運び出す作業などを手伝った。「現地ではとにかく人が足りない。せめて隣接する西諸地域からだけでもボランティアを受け入れてくれれば」と話した。

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