保護者 最後の夏に涙 県高校野球大会2020

メガホンを使った応援などは禁止され、保護者らは拍手で声援を送った=11日午後、宮崎市・ひなたサンマリンスタジアム宮崎

 これまでの成果を発揮してくれた―。県高校野球大会が開幕した11日、会場となった宮崎市の球場スタンドでは、保護者らが選手たちにエールを送った。新型コロナウイルス感染対策でハイタッチやメガホンの使用が禁止され、拍手による応援。最後の舞台となる3年生は全力プレーで応えた。
 感染対策でスタンドに入れるのは保護者らだけ。特に3年生の保護者は今大会を待ち望んでいた。
 ひなたサンマリンスタジアム宮崎では、日向高と高千穂高が対戦。日向側スタンドで観戦した河野裕二さん(55)=日向市財光寺=は「もう見られないと思っていた息子の試合での姿が見られてうれしい」と語る。甲子園が中止になっても日課の素振りを欠かさなかった日向高の捕手で長男駿太朗さん(18)の努力を見てきただけに感動もひとしおだった。
 藤坂伸治さん(41)=高千穂町三田井=は、高千穂高主将としてグラウンドで活躍する長男幸斗さん(17)の姿を目に焼き付けた。試合には負けたが、「これまでの成果を発揮し、最後まで楽しんでプレーしてくれたと思う」と涙を浮かべた。
 アイビースタジアムの宮崎工業高側スタンドには、3年生の母親が作った3年生13人の写真を千羽鶴で囲んだ縦60センチ、横1メートルの木製ボードが掲げられた。惜しくも1点差で敗れたが、保護者会の松崎保隆会長(50)は「集大成の大会を応援できて良かった」。
 3年生も保護者らの声援に応えた。都城農業高3年の田邊大燿さん(17)はサンマリンスタジアムで公式戦初出場し、投手として1イニングを三者凡退に抑えた。チームは負けたものの、悔いはない。「仲間と共に試合できた思い出は一生大切にしたい」

© 株式会社宮崎日日新聞社