長崎日大 鮮やか集中打 わずか6球で4点 投手陣も完封リレー

【1回戦、諫早農―長崎日大】6回裏長崎日大2死、井原が中越えに三塁打を放つ=諫早市第1野球場

 “夏”の開幕にふさわしい引き締まった試合になった。今大会、そして今年最初のプレーボールのサイレンが響いた諫早市第1野球場。1回戦屈指の好カードは長崎日大に軍配が上がった。平山監督は「久しぶりの公式戦、久しぶりの緊張感。まずは試合ができたことに感謝したい」と実戦の喜びをかみしめていた。
 五回を終えて0-0。相手右腕、最速140キロ超の諫早農の中村に1安打に封じ込められた。六回も簡単に2死を取られて守り合いが色濃くなる中、いきなり、そして鮮やかに均衡を破った。
 主将の井原の三塁打に始まり、山口、山下が二塁打、三塁打、川鍋が左越えに一発。この間わずか6球。井原が「真っすぐに張っていた」と言えば、練習試合を含めて高校第1号となった川鍋は「前の2打席とも初球はスライダー。狙っていた」。頭と体が完璧に呼応した4得点だった。
 中村と張り合った投手陣も見事だった。四回に打球を右足に受けた大井手からマウンドを託されたのは田中玲。「とにかく低め低め」とピンチでたびたびワンバウンドの球も投げたが、それを受け止める捕手柴田を信じて腕を振った。1死満塁を切り抜けた、この場面が完封リレーにつながった。
 平成最多の県優勝を誇りながらも2010年を最後に遠ざかっている夏の頂点へ、攻守両面で価値ある1勝。それでも、井原は「(敵失で好機を得た)初回に点を取れなかったのは課題」、田中玲は「次も守備からリズムをつくる」。悔しい自粛期間から戦いに戻ってきた伝統校の選手たちに慢心という言葉は似合わない。

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