米海軍佐世保 日本人警備員の勤務条件、同意なく変更 労働契約法に抵触か

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日本人従業員の雇用形態

 米海軍佐世保基地が、同基地で勤務する日本人警備員に対し、長時間労働など過酷な勤務条件への変更を一方的に通達していたことが13日、関係者への取材で分かった。労働契約法に抵触する疑いがある。専門家は、基地側が日米地位協定に反し、日本人従業員に日本の労働法規を適用しないことが問題だと指摘する。
 日本人従業員については日米地位協定に基づき、日本(防衛省)が雇用し、在日米軍が使用する間接雇用方式を採用。全駐留軍労働組合長崎地区本部(全駐労長崎)によると、日本人警備員は約80人。メインゲートなど約10カ所でパトロール業務などを担っている。
 現在、警備員は労働時間8時間の3交代制(1カ月ローテーション)だが、基地側は15日から、4時間増やし12時間の2交代制(3カ月ローテーション)に変更すると文書で通知した。警備員への事前説明はなかった。同基地は変更理由について「米兵と警備員の人員配置や訓練の連携」などとした。適用日は変更になる可能性もある。
 新しい勤務体系になると、休憩を含め実質13時間労働となるほか、非番の日に訓練も設定されるという。全駐労長崎は、日本人警備員が過重労働となり、介護や子育てなど家庭生活にも支障が出る恐れがあると指摘する。
 全駐労長崎は、変更の再考を求める警備員家族の署名約240筆を、6月下旬以降、同基地司令官や防衛省九州防衛局長などに提出。渡邊秀與書記長は「日本人警備員の人権を一切考慮していない勤務体系で同意できない。撤回を求めたい」と訴える。
 九州防衛局は「個別具体的なことには答えられない」とした上で「基地と協議し、在日米軍従業員の適正な労務管理によりいっそう努める」とした。
 基地で働く日本人従業員の労働環境を研究する沖縄大の春田吉備彦教授(労働法)は、今回の労働条件の変更は労働契約法に抵触すると指摘。日米地位協定は日本人従業員の労働条件や権利について、日本の労働法規が適用されるのが原則と定めるが、「米側は同法は適用しないとの考えを貫いている」という。
 春田教授は「米側は日本人従業員の持続可能な働き方を進めるべきで、日本側は雇用主として労働契約法を守るよう交渉すべきだ」と指摘する。
 同基地は「(今回の変更は)基地司令官の権限で実施する。従業員の同意を得る必要はない。大幅な変更がある場合、30日前に事前通知をすることが義務となるが、今回は規定の2倍の60日前に事前通知をした」としている。
 独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構によると5月末時点で、全国の在日米軍で働く日本人従業員は約2万6100人。米海軍佐世保基地は1752人。