【『水玉自伝』読書感想文コンクール|藤谷千明賞】つの木 「アーバンギャルドに青春を押しつけてしまった」

アーバンギャルドが4月27日(月)に発売した『水玉自伝~アーバンギャルド・クロニクル~』をもちいた読書感想文コンクール「わたしの水玉自伝」をnoteにて開催。このたび受賞作品が決定。Rooftopでは受賞3作(浜崎容子賞、松永天馬賞、おおくぼけい賞)、さらに追加で藤谷千明賞(緊急創設)を順次掲載していく。

つの木 「アーバンギャルドに青春を押しつけてしまった」(藤谷千明賞)

note:https://note.com/tsunokio00/n/n79353738e879

私が一番アーバンギャルドに救われてたいたと思っていた時期は、実はメンバーにとってとても辛い時期であった。
「私たちの青春はあなたのものです」とあるが、私はこのあなたをアーバンギャルドだと思っていた。
実際、青春と呼ばれる中学生から高校生の時期、アーバンギャルドが好きで、救われたことが何度もあった。
アーバンギャルドが紡ぐメロディが特に好きで、他のアーティストにはないものを感じて何回も何回もCDをプレイヤーに入れた。PSPに入れた。ウォークマンに入れた。iPhoneに入れた。
アーバンギャルドの声、特に浜崎容子様の声もすきだった。男性嫌悪に陥っていた私を、よこたんの美しい声が救ってくれた。
アーバンギャルドがすきな時、私は絵を描いていた。眼帯譚をもとにした漫画を描いた、完結はさせられなかった、きっともうできないと思う。けどあの漫画も私の青春である。

高校生になって、友人とアーバンギャルドのインストアライブに行った。それぞれどのメンバーを推しているか、担当がありそこでわたしは瀬々さん担当、ぜぜ担になった。友人Aは谷地村さん担当、友人Bは鍵山さん担当、友人Cはよこたん担当であった。友人A.Bとはもう共にライブに行くことは出来なくなったが、友人Cとは今でも共にライブに行く。私と友人Cでは刺さる曲というのも違っていて、そういったことを話すのもとても楽しく、あぁアーバンギャルドをすきでよかったなとも思うのだ。

高校三年生になり、大学受験を控えた私は徐々にアーバンギャルドから離れるようになった。
それは誘惑であったからという理由もあったが、その頃に発表された「平成死亡遊戯」があまり好きではなかったからだと思う。

私の中でよこたんがアーバンギャルドの唯一神、唯一女神であった。だから他のアイドルの声がアーバンギャルドの曲に入ってるのがどうしても許せなかった。
不在の少女を証明せよ、というアーバンギャルドのコンセプトに則り、不在の少女を証明するために浜崎容子が声を当てているのではなかだたのか。不在の少女の代弁者として浜崎容子がいたのではないかと。
平成死亡遊戯はまるで辛い思いを抱えるアイドルの女の子たちの歌であった。それはアーバンギャルドで叶える必要があったのかと…今でもこの歌だけは聞けない。好きな人には申し訳ないと思う。

無事大学進学は果たすのだが、新しい環境に身を置くとそれまで好きだったものへの愛情を復活させるのがとても難しくなっていた。
一度消えた炎が再び灯るのには時間がかかった。その炎が再び灯るきっかけとなったのはフラッシュバックワンマンだったと思う。
新曲を全く追えていなかった私はこのツアーが本当に嬉しかった。ここで再びアーバンギャルドへの愛情を取り戻したように感じる。
そして現在、水玉自伝を読み、感想文を投稿するに至る。

私はバカなファンだから、バンドの伝えたいことはちゃんと伝わっていないのだろう。
ただ、過去に私を救ってくれたあなたたちをもはや人間的に愛してしまっているため、ずっと元気な姿を応援したいと思うのだ。
ライブステージに立つあなたたちの本質を理解することはきっとできない、なぜなら友人でもないしただあるのはバンドメンバーとファンという関係だけだから。
だが愛は盲目とはよく言ったもので、そんなことを抜きにして、私はあなたたちを応援していきたい。
ライブに行って、グッズを買って、たまにYouTube経由でお金を落として…それがあなたたちの血となり肉となってほしい。
アーバンギャルドは天才だと思う。多くの脱退、加入を経てなお私の心を離さない。(一度は離れたが)
テクノポップはあまり聞かない。聞くのはアーバンギャルドくらい。だけど聞いてしまう。私の世界を広げてくれるのもアーバンギャルドなのです。

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