「Go To」需要獲得なるか 期待と慎重論が交錯 長崎

徹底した感染症対策をして需要獲得を目指すことを確認した総会=長崎市大黒町、ホテルニュー長崎

 長崎県観光連盟は15日、長崎市内で通常総会を開き、新型コロナウイルスの感染拡大による観光客の減少について、今後の収束状況を見極めながら、各種キャンペーンなどで効果的な対応策を進めていくとする基本方針を盛り込んだ本年度事業計画を承認した。22日に始まる予定の国の観光支援事業「Go To トラベル」については動画作製などで誘客を図っていく。ただ、同事業に関しては関係者の間でも期待と慎重論が交錯している。
 コロナ禍で本県の基幹産業の一つである観光関連業は影響が長期化。県などによると、1~3月の県内延べ宿泊者数は前年同期比約3割減。速報値で4月は約8割、5月は約9割の大幅減となった。一方、県独自の誘客促進事業で6~7月末までに24万泊の需要を創出。徐々に回復傾向に向かいつつあるという。
 こうした中、「Go To トラベル」による需要の取り込みに向け、同連盟は県内各市町と連携してインターネットで公開する6テーマの動画を今後、作製して誘客。県内周遊を促すイベントの企画も計画している。
 ただ、関係者の間で「Go To トラベル」への受け止め方はさまざま。総会終了後の取材に、同連盟の宮脇雅俊会長は「各施設で徹底的な感染症対策をした上で、多くの観光客をお迎えしたい」。佐世保観光コンベンション協会の飯田満治理事長も「観光業は裾野が広く、小さな事業者が多い。県外から客を呼び込まなければどんどん廃業していく」と期待感を示し、「笑顔で迎えなければ観光は成り立たない。県民の後押しが欠かせない」と話した。
 一方で、新型コロナの感染が東京などで広がる中、旅客船会社の幹部は「乗客とスタッフの健康に関わる。感染リスクを下げるため誘客のエリアを九州などに当面限定すべきだ」と主張した。


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