リフォーム見積もりで失敗しないためのポイントや注意点を解説

最近はリフォーム費用を安く抑えるため、「相見積もり」を行う方が増えています。その一方、相見積もりにはさまざまなルールやマナーが存在することをご存じでしょうか? 今回は、住宅リフォームの相見積もりに失敗しないためのポイントや注意点を解説します。

リフォームの相見積もりとは?

相見積もりとは、複数の業者に同じ条件で見積もりを取り、価格やサービスを比較検討することをいいます。住宅ローンのリフォームにおいては、さまざまなリフォーム施工会社に見積もりを依頼し、施工価格や納期、業者間の細やかな違いを比較します。

そもそも、住宅リフォームの施工費には「定価」が存在しません。同じリフォーム内容であっても、業者によって費用が異なります。例えば、見積もりを1社のみ依頼する場合、工事内容に対して費用が高すぎる可能性もあれば、安価なものの手抜き工事になるリスクなどがあります。複数の業者に相見積もりを取ることで、業者の良し悪しがわかるとともに、適切なリフォーム費用の相場間を把握できるでしょう。

見積もりの流れ

一般的な見積もりの流れは、以下の通りです。

1.候補業者のリストアップ
2.業者の選別
3.業者に見積もりを依頼
4.内容を比較検討する

効果的かつスムーズに見積もりを取るためにも、上記の流れを覚えておきましょう。各段階について、より詳しく掘り下げます。

1.候補業者のリストアップ

最初に、見積もりを依頼する候補業者をリストアップします。詳しくは後述しますが、リフォーム施工会社には「大手ハウスメーカー」や「住宅設備機器メーカー」、「地元工務店・リフォーム会社」などがあります。その中から、気になった業者をリストにまとめましょう。なお、現時点では各業者の特徴や諸条件を気にする必要はありません。とにかく気に入った会社をピックアップしていきましょう。

2.業者の選別

次に、リストアップした業者の選別を行います。各社の公式ホームページを参考に、見積もりを依頼する業者を選びましょう。その際、以下のポイントを細かくチェックしてみてください。

・リフォームの施工価格
・業者の得意分野や特徴
・プラン内容
・取引実績・施工事例
・会社概要(所在地・代表者名・主要取引銀行など)

意外と見落としがちなのが、取引実績・施工事例です。リフォーム施工会社の中には、高額な費用で手抜き工事を行う“悪徳・悪質業者”も少なくありません。過去の取引実績・施工事例を確認すると、その業者の仕事の質がみえてきます。取引実績・施工事例は、業者の良し悪しを見分けるうえで重要なポイントです。

また、最近はリフォーム会社専門の口コミサイトも増えました。気になる業者を口コミサイトで検索すれば、実際に利用した方のリアルな声がわかります。あわせて参考にしてみましょう。

3.業者に見積もりを依頼

選別が終わったら、対象業者に見積もりを依頼します。住宅リフォームの見積もりは、「概算見積もり」と「本見積もり」の2種類に分けられます。この段階でもらうのは、施工費を大まかに算出した概算見積もりです。

4.内容を比較検討し、依頼する業者を決める

最後に、各社から提示された概算見積もりを比較し、最終候補を決めます。ポイントは、プラン内容と施工費の両面から比較することです。どちらを優先するかは、ご自身の判断に委ねられます。

依頼する業者を決めたら、現地調査や先方との打ち合わせを経て、最終プランの確定、本見積もりの作成が行われます。この段階ではじめて、リフォームにかかる費用や工事日が決まります。

リフォーム施工会社の種類と特徴

リフォーム施行会社と一口にいっても、その種類はさまざまです。例えば、耐震工事を専門領域としたり、デザインリフォーム・リノベーションに強かったりと、業者ごとにことなる特徴があります。ここでは、主なリノベーション施工会社の種類と特徴をご紹介します。

大手ハウスメーカー

大手ハウスメーカーは、事業の一環で住宅リフォームを手がけています。大規模なリフォーム工事が得意で、住宅の増改築から耐震補強工事、断熱リフォーム、間取り変更やリノベーションなど、幅広い施工に対応します。全国展開している業者も多く、施工エリアの広さは随一です。

住宅設備機器メーカー

住宅設備機器メーカーは、「LIXIL(リクシル)」や「TOTO」などが有名です。多くの住宅設備メーカーは、「(※)リフォームショップ」を介してリフォーム事業を展開しています。その出身業者によって得意・不得意は変わるものの、大規模な増改築に対応する場合もあります。

※リフォームショップ……自社製品を扱う代理店のこと

電気水道ガスの設備業者

電気・水道・ガスの供給会社の中には、リフォーム事業を行っている業者があります。設備業者の場合、それぞれの専門分野を活かしたリフォームが中心です。例えば、電力会社なら配線工事、ガス会社は給湯器の交換や配管工事などに対応します。水道の場合、水道局指定の「指定給水装置工事事業者」がリフォームを請け負います。水道管の引き込みから水漏れ修理まで、水回りのリフォームが専門です。

地元工務店・リフォーム会社

地元工務店やリフォーム会社の仕事は、壁・床の張り替えや水回りの交換、外装・屋根の塗装など多岐にわたります。いずれも地域密着型の中小企業が多く、大手ハウスメーカーや住宅設備機器メーカーのリフォームショップに比べ、施工費を抑えられる傾向にあります。

工務店はリフォームのほか、注文住宅や新築工事も請け負います。一方のリフォーム会社は、リフォーム・リノベーション全般に対応するものの、新築工事などは専門外です。ただ、デザイナーや建築士などのスペシャリストが在籍するため、工務店よりも専門性の高い住宅リフォームを提案・施工できる特徴があります。

建築設計事務所

建築設計事務所は、基本的には注文住宅や新築工事を手がける業者です。増改築などの大規模なリフォームは得意ですが、小規模になると対応できないケースがあります。またリフォームの施工実績が少ない事務所もあるため、事前に確認が必要です。

見積もりを依頼する前に準備すること

見積もりを依頼する際、事前に準備することがいくつかあります。特に重要なのが、リフォームの相場価格の把握です。インターネットや書籍などで情報収集し、リフォーム全般の知識を身に付けましょう。ここでは、見積もりを依頼する前に行いたい3つの準備をご紹介します。

情報収集をし、リフォームの相場価格を知る

まずやるべきことは、情報収集です。インターネットには数多くの施工事例がアップされており、実際にかかった施工費や工期などを確認できます。それらをもとに、リフォームの相場価格を把握しましょう。

例えば、リビングのリフォームを検討するなら「リビング リフォーム 事例」で検索すると、さまざまな関連事例がヒットします。希望のリフォーム内容に近い事例を探し、おおよその費用感を確認してみましょう。また、仮住まい費用や引っ越し費用など、リフォーム費用以外のお金も算出しておきます。

リフォームプランを決める

次に、リフォームの目的や予算など、大まかなプランを決めていきます。明確にしておきたいポイントは、以下の通りです。

・リフォームの目的
・予算
・修繕箇所
・使用素材
・施工後のイメージ

実際のリフォームプランは、施工会社に所属するプランナーが提案します。ただ、「予算100万円で日当たりのいい部屋にしたい」「無垢フローリングを使いたい」「バリアフリー住宅にしたい」といったイメージがあると、施工会社もさまざまな提案ができるでしょう。

ポイントは、修繕箇所への不満を洗い出したうえで「どう改善したいのか?」を具体的にイメージすることです。例えば、リビングの日当たりの悪さを改善したい場合は、窓の増設や壁の張り替え、吹き抜けの設置といったリフォームパターンが考えられます。施工会社は予算の範囲内で、より改善効果の高いプランを提案できるでしょう。

間取り図を用意する

3つ目に行いたいのは間取り図の用意です。見積もり依頼の際は、間取り図をコピーして提出するのがおすすめです。相手は住宅リフォームのプロですが、部屋の間取り・レイアウトがわからなければ、効果的な提案ができません。そのため、一戸建ての場合は建築確認申請時に提出した図面を、マンションの場合は購入時にもらう平面図を用意しておきましょう。

さらに家具・家電の位置を間取り図に記入しておくと、受けられる提案の精度が増します。もし間取り図がなければ手書きするか、エクセルなどのソフトで作成しておきましょう。

相見積もりをする時のポイント

相見積もりには、いくつかのルールやマナーがあります。以下の内容をしっかりと把握し、効果的に相見積もりを取りましょう。ここでは、相見積もりを依頼する際に気を付けたい3つのポイントをご紹介します。

予算やリフォーム内容などの条件を統一する

相見積もりを依頼する際、先方に伝える予算やリフォーム内容は統一しましょう。相見積もりの目的は、同一条件で依頼した場合の見積書を比較し、好条件の業者を見極めることにあります。条件が統一されていない場合、正確な比較ができないため注意してください。

見積もり依頼は3社を目安に

相見積もりを依頼する業者は、3社が目安です。どれだけ多くても、5社程度に留めましょう。見積もりをとる会社が多いほどさまざまな条件が比較できますが、その分、打ち合わせや相談に時間が取られてしまいます。

また、依頼数が多い場合、現地調査の日程調整も難しくなるでしょう。3社程度であれば、無地のない範囲で相見積もりをとり、比較検討しやすくなります。

相見積もりであることを伝える

相見積もりをとる際は、「今回は複数社に見積もりをお願いしています」と伝えることがマナーとされています。他社の見積書は絶対に提示しないよう気をつけましょう。具体的な会社名や提案内容、提案価格も伝える必要はありません。上記のメリットは、大きくわけて2つあります。ひとつは「見積もり価格が安くなる」ことです。業者間で競争意識が働くため、さまざまなリフォームプランを安価で提案してくれます。

もうひとつは、「見積もり価格の適正化」です。仮に1社しか見積もりを取らないことがわかると、業者によっては相場以上の見積もり価格を提示してくることがあります。自社と付き合いのあるメーカーやブランドの製品を使いたい、得意な施工法で工事を進めたいなど、目的はさまざまです。できるだけ安い見積もり価格をとるためにも、相見積もりであることは必ず伝えましょう。

相見積もりをする時にやってはいけないこと

相見積もりをとる時には、いくつか気をつけておきたいポイントがあります。依頼前にしっかりと確認しておきましょう。

相見積もりの内容が会社ごとにバラバラ

先述したように、相見積もりの目的は複数業者の比較検討にあります。提示条件が異なる場合、どれだけ多くの業者に見積もりを依頼しても、正確な比較ができません。相見積もりを取る際は、提示条件の統一を心がけましょう。

見積もり依頼をする会社をむやみに増やす

やみくもに依頼業者を増やすのは避けたほうが無難です。住宅リフォームの見積もりは、概算見積もりから現地調査、詳細を詰める話し合いなど、複数のプロセスを経て行います。時間と労力がかかるため、依頼業者が増えるのに比例してご自身の負担も増えてしまうでしょう。見積もり内容のバラつきも懸念されるため、むやみに依頼業者を増やすのはおすすめできません。

リフォーム内容を変更する

相見積もり依頼後、「気が変わったから○○を○○に変更したい」と問い合わせるのはマナー違反にあたるとされています。一度の変更なら許されることもありますが、何度もリフォーム内容を変更するのはなるべく避けましょう。見積書の作成には相応のコストがかかります。契約につながらない場合は、見積もりにかけた時間と労力が水の泡となってしまいます。見積書を作り直す分だけ赤字になるといって良いでしょう。

見積もり段階では、リフォーム契約は成立していません。リフォーム施工会社からすると、相手は正式に「自社のお客様」となっていない状態です。見積もりは無料だからといって何度も修正をお願いすると、施工会社側も良い気分はしないでしょう。お互いに気持ちよく取引するため、相手のことを考えて依頼するのが大切です。

他社の見積書を引き合いに出して値下げ交渉をする

相見積もりをとった最、他社の見積書を引き合いに出して値下げ交渉はするのは避けましょう。見積書には、これまで培ってきた業者の知識やノウハウが詰まっています。その業者にとっては「財産」となるため、他社への流出は避けたいのが本音です。他社の見積書を安易に見せてしまうと、その会社へ失礼にあたるうえ、交渉中の相手にも不快感を与えるかもしれません。

値下げ交渉した結果、他社よりも安く工事できると交渉を受ける担当者もいます。ただし、そういった業者のなかには、重要な工程を省いて工期を短縮したり、安価な素材を使用したりするところもあります。手抜き工事につながり、結果的に余計な修理費用がかさんでしまうかもしれません。

通常、リフォーム施工会社は、適正価格で見積もりを出します。見積書を提示されたら、金額のみを見るのではなく、工事の内容やクオリティなどにも着目しましょう。

トラブルを回避するために気を付けたいポイントと失敗談

ここでは、見積もり依頼から着工後に発生するさまざまなトラブルと、回避法をご紹介します。よくある失敗談もお話しますので、ぜひ参考にしてください。

追加工事が発生することも。追加や変更点は書面に

住宅リフォームでは、着工後に追加工事が発生することがあります。Aさんの例でいうと、見積もり段階のリフォーム費用は総額500万円でした。Aさんが工事現場を見学していた際、「この壁の位置を変更してもらえる?」と大工に提案。当初のリフォームプランとは異なる変更工事を行い、50万円の追加費用が発生しました。

上記はAさんの思いつきにより、追加工事が発生したケースです。ただ、着工後にさまざまな理由から、追加工事をせざるを得ない状況も発生します。追加工事に関することや変更点の有無については、トラブル防止のためにも、必ず書面に起こしておきましょう。

見積もりが返ってこない場合は?

見積もりがなかなか返ってこない場合、電話で問い合わせるのがおすすめです。最近はメールでやりとりするケースも増えていますが、レスポンスが遅かったり、メールの不達が生じたりする可能性があります。

すべてのリフォーム施工会社が、お客様からの連絡を無視しているわけではありません。ただ、見積もりに時間がかかりすぎる業者は、人手が極端に足りておらず、工事も丁寧に行う余裕がない可能性があります。気になる場合は、契約を避けたほうが良いかもしれません。

見積書の見方

「ようやく見積書が届いた!」と思っても、その内容を完全に把握できる方は少ないのではないでしょうか。そこで、見積書の項目内容の説明と、そのチェックポイントをご紹介します。見積書の確認時にお役立てください。

作成日時

見積書の作成日時です。提案内容に納得がいかなければ、何度も見積書を作成する可能性があります。最新の見積書がどれなのか、作成日時でしっかりと把握することが大切です。

押印

リフォーム施工会社の押印と署名があるか、必ず確認してください。押印がない場、当該業者の正式な書類でない可能性があります。契約後のトラブル防止のためにも、押印済みの見積書を後日再請求しましょう。

商品名の型番

リフォームに使用する材料・設備のメーカー、型番を示す項目です。インターネットで型番を調べると、見積もり価格が適正か否かわかります。もしこちら側が設備・材料を指定していた場合は、内容に間違いがないか確認しましょう。

単価と数量

リフォームに使用する材料・設備のメーカーの単価と数量です。他社の見積書と比較し、極端に数量が多い、単価が高いと感じたら担当者に問い合わせてみましょう。

諸経費の割合

リフォーム施工会社では、工事費に一定の割合をかけて「諸経費」を算出します。諸経費とは、材料費と工事費を除いたリフォームにかかる経費のことです。詳しくは後述しますが、その割合が適正かどうか判断することも大切です。

合計金額

リフォームにかかる合計金額です。見積書を複数回作成している場合、合計金額が更新されていないケースもあるため注意しましょう。

有効期限

見積書の有効期限で、「本見積提出後3週間」などと明記するのが一般的です。見積書に有効期限を設定する理由は、設備・材料費の変動に備えること、早期契約を促すことが挙げられます。

見積書をチェックする時の注意点

ここでは、見積書をチェックする際の注意点をお話します。トラブルに直結する内容もありますので、見積書は隅々まで確認しましょう。

項目内容の詳細が記載されているか

見積書を受け取ったら、解体費・材料費・諸経費などの項目において、詳細な説明が記載されているか確認しましょう。中には、素人では内容の判断が難しい項目もあります。説明が不十分だと感じた場合、担当者に直接問い合わせるのがおすすめです。

諸経費の内訳は?

見積書には諸経費として計上されている項目があります。主な内訳は以下の通りです。

・営業担当者や職人の人件費
・事務所の賃料
・駐車料金
・交通費
・通信費機材などのリース料金 など

工事全体における諸経費の割合は、8%〜22%が相場です。各社の見積書を比較して、極端に相場とかけ離れていないか調べましょう。

見積もりの断り方

相見積もりの場合、最終的に決めた1社以外は断る形となります。その際に伝えたいポイントは、以下の通りです。

・見積もりに対応してくれたことへの感謝
・時間をかけて対応してくれたことへの感謝
・次回依頼する可能性の示唆

担当者の中には、お客様のために試行錯誤し、残業してまで提案内容を考えた方もいるはずです。そのため、断りの連絡を入れる際は、ぜひ感謝のことばも添えてあげましょう。相手に誠意が伝われば、快く受け入れてもらえるはずです。自然消滅を期待して連絡しない、連絡が来ても無視するといった対応は避けましょう。相見積もりをとった各社へ連絡を済ませたうえで、本格的なリフォーム工事へ進んでいくのがおすすめです。

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