「保護者が医療関係者の人は?」 児童に挙手求める 長崎市内の教諭、謝罪

 長崎市教委は16日、市内の市立小学校に勤務する50代男性教諭が、長崎みなとメディカルセンターと長崎大学病院で新型コロナウイルスの感染者が相次いでいる事態を受け、医療関係者の保護者がいる児童に対して挙手を求める不適切な言動があったことを明らかにした。市教委は「新型コロナ禍では、人権により細かな配慮が必要とされる中でそれを欠いてしまっていた」としている。
 市教委によると、男性教諭は14日、担任を務める6年生のクラスの朝の会で健康観察記録表を児童から回収していた際、「医療関係者の保護者がいる人は挙手を」などと発言。数人が手を挙げたことを受けて、「これだけたくさんの医療従事者がいる。われわれもより(感染防止に)気を付けていかないといけない」と話した。同日夕、複数の保護者から同校に問い合わせがあり発覚。同校は15日に全学年の家庭に文書で謝罪し、男性教諭を指導した。
 男性教諭は発言の意図について、健康観察記録表の未提出者が4、5人いたため、「長崎市内で感染者が増加しており、感染防止の取り組みを徹底していこうという趣旨だった」などと説明しているという。
 市教委は「差別や偏見につながりかねない事態を起こしてしまい、適切な言動ではなかった」とし、再発防止に向けて職員の意識の徹底などに取り組むとしている。


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