投手による本塁打はバムガーナーの一発が最後になるのか?

昨年、メジャーリーグの投手で最後に本塁打を打ったのはマディソン・バムガーナー(当時ジャイアンツ、今年からダイヤモンドバックス)だった。今年はナショナル・リーグでも初めて指名打者制が導入され、投手が打席に立つ機会は限りなくゼロに近くなる。もし来年以降も両リーグで指名打者制が導入されるのであれば、投手が本塁打を打つシーンはもう見られないかもしれない。投手による本塁打はバムガーナーの一発が最後になってしまうのだろうか。

1972年10月3日(現地時間)、オリオールズのロリック・ハリソンはレギュラーシーズン最終戦の6回表にメジャー初本塁打を放った。この年、アメリカン・リーグで投手が放った22本塁打のうちの1本に過ぎず、この試合を観戦したファンは「歴史」を目撃したなど思っていなかったに違いない。しかし、結果的にこの一打は指名打者制導入前にア・リーグの投手が放った最後の本塁打となった。

それから50年近い年月が流れ、ナ・リーグからも投手による本塁打が消えようとしている。当時ルーキーだったハリソンとは異なり、バムガーナーは「強打の投手」として広く知られる選手だ。ジャイアンツでの最終登板となった昨年9月24日(現地時間)のロッキーズ戦、バムガーナーは3回裏に通算19本目の本塁打を放った。この一発が昨年、投手が放った最後の本塁打だった。

打者有利と言われるチェイス・フィールドを本拠地とするダイヤモンドバックスへ移籍し、さらなる本塁打量産も期待されたバムガーナーだが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴った動きのなかでナ・リーグにも指名打者制が導入されることが決定。来年以降もナ・リーグに指名打者制が導入されるかどうかは未定だが、投手が打席に立つ時代は完全に終わりを迎えることになるかもしれない。

「僕は言われたことをやるだけさ。今はピッチングに集中するよ」と語ったバムガーナーだが、「最後に本塁打を打った投手」として歴史に名を残すことになるのだろうか。

© MLB Advanced Media, LP.