超一流が人生の武器にする「気くばり」
CAは機内でたくさんのお客様と出会いますが、飛行機を降りたあともCAの間で語り継がれるお客様がいます。
CAの心をつかむ神対応をされるお客様は、自分も相手も気持ちよくなるようなコミニケーションをとり、周囲の状況に左右されない穏やかなたたたずまいで、身の回りはすっきりと整頓されていて、人生が好循環で回っているように見えました。
そしてそれは、成功者だから、余裕があるから、というわけではなく、実はとてもシンプルに人、自分、物への「気くばり」という点に集約されると気づきました。
ここでは、2020年7月21日に発売になる筆者の新刊「ファーストクラスCAの心をつかんだ マナーを超えた『気くばり』」(青春出版社)の中から、CAメディア所属の航空会社の枠を超えたCAから集めた、CAの間で語り継がれる神エピソードをご紹介致します。
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超一流はミスを笑いに変換する
超一流の方は、CAがミスをした際も決して声を荒げることはしません。それどころか、こちらを気遣うような対応をしてくださるのです。
私自身、初めてファーストクラスを担当した際に、誤ってワイングラスでシャンパンをお出ししてしまったことがありました。そのためいつもより多く注いでしまい、お客様は酔いがまわりお食事中にお休みになってしまいました。
お目覚めになった時には食事もすっかり冷めてしまっていたのですが、チーフと共に謝罪に行った際、「通りでいつもよりサービスがいいなと思ったんだよ。いつもは睡眠導入剤を飲まないと眠れないんだけど、おかげで今日はこれまでで一番よく眠れたよ、ありがとう。」と笑いながらおっしゃってくださったのです。
ミスをしたことでガチガチに固まっていた私の心は、お客様の機転によって優しくほぐされました。
このように、超一流の方はまるで太陽のような「太陽フレーズ」を巧みに使い、ミスを笑いへと変換してくださるのです。
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超一流は食べ物を残さない
ファーストクラスを担当するCAが口を揃えて言うことが、「食事を残す方がほとんどいない」ということ。
これは、食事を残すことが失礼にあたるからということもあるとは思いますが、それよりも食べ物を無駄にしてしまうこと「フードロス」(食べられるのに廃棄される食品)を気にする方が多い印象があります。
まず、食事をオーダーする時点で「今はあまりお腹が空いていないから、これだけにしようかな」と、自分のお腹と相談しながら決めていらっしゃいます。「ラウンジで食べてきたから」と、有名シェフ監修のコース料理をキャンセルされる方や、お茶漬けなど軽い食事のみ召し上がる方も少なくありません。
また、ワインをオーダーする際も、「1杯だけ赤ワインが飲みたいんだけど、開いてるワインあるかな?」など、CAが「そこまで気にしなくても」と思ってしまうほど気にされるのです。
機内ではどれだけ食べても飲んでも料金は変わりません。それでも本当に必要なものだけを選ぶ超一流のお客様からは、食品や環境、サービスする人への配慮が感じられます。
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超一流はクレームと思わせず意見を伝える
機内という特殊な環境はクレームも起こりやすい状況でもあるのですが、「超一流の方はクレームを言わない」というのはCAが口を揃えて言うことです。それは、我慢しているわけではなく、相手にクレームと思われない上手な伝え方をしているからです。
あるCAは、お食事サービスの際、食事のチョイスがなくなってしまいお客様に謝罪したところ「いいですよ」と笑顔で受け入れてくださったうえで、「僕いつも断られちゃうんだよね。これで3回連続!」と笑いながら言われたそうです。それを聞いたCAは謝罪しながらもつい一緒に笑ってしまうような和やかな雰囲気だったといいます。
言っている内容としては「3回連続ミールチョイスを断られた」ということで、普通に伝えたらクレームになってしまうような内容ですが、それをネタとして笑いに変えることでその場の雰囲気を壊さずに伝えるという高度なテクニックです。
ちなみに、担当したCAはすぐに引き継ぎシートに記載し、次回はお断りすることのないように伝えたそうです。
もしこの時怒鳴られていたとしても、現実的にCAが機内でできる対応は変わりません。
そう考えると、相手も自分も笑顔になれるような伝え方をするのが賢いと言えます。
人との距離感が遠くなっている今だからこそ、「マナーを超えた気くばり」を!
機内では様々なドラマが生まれます。CAが感動し、心をつかまれ、人生の勉強になったと感じるようなエピソードはまだまだたくさんあります。
「ファーストクラスCAの心をつかんだ マナーを超えた『気くばり』」(青春出版社)ではエピソードと共に、その「気くばり」のエッセンスを、日常生活の中でも取り入れやすいよう紐解いてお伝えしていますので、ぜひお手にとっていただけたら幸いです。
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外出自粛、在宅ワーク、マスク生活など、人との距離感が遠くなっている今だからこそ、「マナーを超えた気くばり」が人間関係だけでなく、仕事も人生をも好転させる最強の武器になると信じています。