NEC・ドコモ・SOMPOホールディングス、介護施設における課題解決に向けた5G実証試験を実施

近年、超高齢社会が進む中で介護人材の需給ギャップと、それによる人手不足が社会課題となっている。こうした状況を踏まえ、介護職員が携わる業務内容および所要時間を調査したところ、食事介助に多くの時間が割かれていることが判明した。そこで、日本電気株式会社(以下、NEC)は、2020年2月に株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)、SOMPOホールディングス株式会社、SOMPOケア株式会社と共同で、介護付きホームの「SOMPOケア ラヴィーレ舟入(広島県広島市)」にて5Gの実証試験を「介護施設の食堂における入居者の特定と禁食(アレルギー)チェック、および食事時の摂取量記録」というテーマにて実施した。同試験では、SOMPOケア ラヴィーレ舟入の屋上に4.55GHzおよび4.75GHzの通信エリアを構築し、居室から食堂までの動線に設置したカメラで食堂へ向かう入居者を顔認証によって特定し、事前に登録したデータベースと照合する。そして、入居者ごとのアレルギーや食事制限の情報を配膳室のディスプレイに表示する。高齢の入居者は、意識的にカメラの方向を見ることが難しいため、認証に必要な高画質写真を数多く撮影し伝送することが必要となる。5Gの低遅延、大容量通信の特性により、最適な写真を逃さず捉えて伝送することで顔認証を実現した。これにより、入居者に合わせた適切な食事を効率的かつ確実に準備することができる。そのほか、アラートによる禁食チェックや食事前後の配膳トレー撮影による摂取量管理の自動化を実施し、介護職員のピーク時の業務効率化に貢献できることを実証した。今後、この結果をもとに介護施設への導入を目指す。

なお、同試験はドコモが実施主体となり総務省から請け負った令和元年度5G総合実証試験「屋外環境において複数基地局、複数端末の環境下で、平均4-8Gbpsの超高速通信を可能とする第5世代移動通信システムの技術的条件等に関する調査検討」として実施したものである。

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