【ここいろ 】山口県山口市。羊毛フェルトで表現する、野生動物の世界|旅する羊毛

鋭い眼光でこちらを睨むハイイロオオカミ。森の中で遭遇したら、一瞬で背筋が凍ってしまいそう……。

(写真提供:旅する羊毛)

迫力満点のオオカミですが、実は「羊毛フェルト」で作られているんです!羊毛フェルトとは、針で羊毛を刺しながら、自由自在に動物や人形を形作る手芸の一種。犬や猫、小鳥など可愛らしいモチーフは見たことがあるのですが、こんなドキッとする作品に出会ったのは初めて。一体どんな方が作られているのでしょう?

山口市阿東の「旅する羊毛」へ

訪れたのは、山口市の北部に位置する阿東地区。羊毛造形作家の郭伝灝(かくでんこう)さんと、妻の酒向令恵(さこうのりえ)さんが出迎えてくれました。お二人は「旅する羊毛」という名で活動されています。

アトリエには色とりどりの羊毛や、郭さんの近年の作品が展示されています。過酷な環境に耐えられるクマムシや、毒を持つヒョウモンダコ、生きる化石と呼ばれるオウムガイなど、そのどれもが一風変わった生き物たち。

こちらは「ホシバナモグラ」。たくさんの突起がある鼻を使って、土中の獲物を探すのだそう。郭さんの作品を見ていると、未知の生物への生態に興味が湧いてきます。

なぜ犬や猫など単純に「可愛い」と言われる動物ではなく、こんな不思議な生き物を羊毛フェルトで作るようになったのでしょう?

羊毛で表現する野生

2002年に留学生として中国から来日した郭さん。大学在学中から旅が大好きで、これまでに2度、自転車で日本一周をした強者です。

「北海道の知床に立ち寄った際、至近距離でヒグマの親子に出くわしたんです。親熊と目が合った瞬間、『もう自分は死ぬんだ』と直感しました。普通なら子グマを守るために攻撃されてもおかしくない状況でしたが、襲われなかった。あの時の感情が今でも鮮明に胸に残っています」

<郭さんが辿り着いた、「自分が伝えるべきこと」や「自分にしか表現できないこと」。全文はこちら>

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