大学人気ランキング、早大4年連続1位ならず。今年、最も「志願したい大学」に選ばれたのは?

新たに導入される大学入学共通テストに加え、新型コロナウイルスによる長期間の休校など、今年は大学受験を控える高校3年生にとって不安の多い1年になりそうです。そんな中、リクルート進学総研が、主要3都市圏の高校3年生に、志願したい大学やイメージを聞いた大学ブランドランキング「進学ブランド力調査」を発表しました。


どんな調査か

調査は今年4月、関東、東海、関西の3エリアで、2021年3月卒業予定の高校3年約12万人を対象に郵送で行われました。有効回答数は約1万9000人でした。調査は2008年に始まり、今年で13回目を迎えます。

この調査は高校3年の4月に行われるため、模試の結果などから本格的に絞り込んだ志望校というよりも、受験勉強が本格的に始まった段階での希望が反映されるのが特徴です。リクルート進学総研は、「様々な大学改革に加え、大学の魅力を伝える広報戦略が志願度向上のポイントになる」とします。

調査では、関東、東海、関西の3エリア別に、「志望したい大学」「知っている大学」のほか、「校風や雰囲気が良い」「学びたい学部・学科がある」「国際的なセンスが身につく」「入試方法が自分にあっている」など、さまざまなイメージについても聞いています。

今年の大学受験事情は

今年の大学受験事情には、2つの背景があるといいます。一つは2016年からの入試の定員厳格化です。同総研の小林浩所長によると、定員厳格化により、高校生の進路選択が“超安全志向”になっており、今年もその傾向が続くと予想されます。

もう一つは、大学入学共通テストの導入。これまでの大学入試センター試験に代わり、新たに導入される新共通テストですが、昨年末には英語4技能、記述式の見送りが発表されるなど混乱が続き、受験生は振り回されています。

このため、新共通テスト対策が取りづらく、リスクを避けたい受験生が一般選抜を避け、年内に合否が決まる「総合型選抜」「学校推薦型選抜」をなどに向かうとも考えられています。

「これらの事情を背景に、受験校の難易度を2段階落とす学生も多く、『偏差値が信用できない』という声も聞く。今年度も『超安全志向』が継続するでしょう」(小林所長)。

加えて、今年は新型コロナウイルスによる影響も予想されています。2か月以上の休校による学力不安や、模試や各種大会、資格試験の中止などによる影響が出そうといいます。

関東「志願したい大学」1位は4年ぶりのあの大学

関東圏では、「志願したい大学」1位に、4年ぶりに明治大が返り咲きました。2位は2017年から3年連続1位をキープしていた早稲田大、3位は青山学院大、4位は立教大でした。

男女別では、男子では1位明治大、2位早稲田大、3位日本大でしたが、女子では8年ぶりに1位に立教大が浮上。2位は昨年首位だった青山学院大、3位は早稲田大となりました。

文理別では、文系は1位が明治、2位青山学院大、3位立教大。理系では、2年連続で東京理科大が1位となり、2位早稲田井大、3位日本大と続きました。

明治大が首位に返り咲いた理由として、小林所長は「入試定員の厳格化により、明治大も早稲田大も共に難易度が上がり、受験生が避ける傾向が出ています。早稲田大のほうがより志願度が下がった結果とと考えられます」と話します。

東海は文系からの人気も集めたあの大学

東海では、名城大が4年連続の1位。もともとは理系学部が中心の大学ですが、ナゴヤドーム前に新キャンパスを建設、外国語学部を新設するなどの改革で、文系や女子の志願度も高まっていると考えらます。2位には名古屋大、3位に中京大と続きました。

また、名古屋大学と運営法人を統合し、国立大学法人東海国立大学機構設立を設立予定の岐阜大が大きくランクを上げています。

関西で13年間1位を守るのはこの大学

関西では、関西大が13年連続で1位と不動の人気を誇りました。続いて、巧みな広報戦略で人気を集める近畿大が2位、3位は関西学院大がランクインしました。男女別でも順位はほとんど変わりませんが、理系に限ると、1位は神戸大、2位は大阪市立大、3位は大阪大と、国公立大学が並びました。

また、立命館大、森之宮医療大、佛教大などが大きくランクを上げました。もともと関西は関東に比べて国公立大が多く、人気も高いエリアですが、昨年から私立志向が国公立志向を上回ったのも大きな変化ということです。

文系も進める情報系学部が人気

では、学部・学科ではどんな分野が人気を集めているのでしょうか。2年連続で志願者が増加した分野は、「経済・経営・商」、「情報」、「外国語」など。ほかにも、「医学・歯学」「看護」「医療・保健・衛生」「福祉」など、不況に強いとされる「資格が取れる学部」が人気を呼びました。

特に、小林所長が注目するのは情報系の学部です。工学部に設置された情報・電子系の学部だけでなく、近年は文系学生も進学できるデータサイエンス学部などの新設が目立っているそうです。

林所長は「ランキングには、新型コロナウイルスの影響は思っていたより色濃く出なかった印象。それよりも入試定員の厳格化や新共通テストの影響が大きく、受験生の超安全志向、私学志向が続いた。また、大学入試への不安から、総合型選抜などの年内入試へのシフトが予想される結果となりました」と話していました。

今後、オープンキャンパスや入試要項の発表などが続きます。情報を集め、じっくりと自分に合った大学を選んでほしいと思います。

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