回を追うごとに高まった「もしかして」の予感を現実にした。公立進学校の長崎西が、今春の選抜大会出場を決めていた創成館を破る“大金星”。エース山下堅が4安打1失点で完投した。185センチの長身左腕は「うれしい。今までで一番」と笑みを浮かべた。
緩急をつけた投球がさえた。直球、スライダーに球速100キロを切るカーブがコーナーに決まり、創成館打線を翻弄(ほんろう)。七回途中、雨で試合が約1時間20分中断したが「疲れていたので、かえって助かった」と集中を保ち続けた。
勝利目前の九回2死から、1点差に詰め寄られ、なお続く一、二塁のピンチで創成館の好打者松尾を迎えた。一打逆転もある場面で「思い切っていけ、と言ってもらった」とバックを信頼。遊飛に仕留めると、大きく手を広げて喜びを表した。昨夏は1回戦敗退の悔しさを味わい、冬場の厳しいトレーニングを経て64キロから16キロ増量。地道な努力が集大成での快投につながった。
チームの3年生は山下堅を含めて3人だけ。主将としてチームを引っ張った吉村は三回に2点目のホームを踏み、伊藤も遊撃吉村との二遊間で堅守を誇った。上級生の頑張りに、先制適時打の今井や三回の守備で捕邪飛を好捕した村川ら2年生も応えた。
喜びもつかの間、また次の戦いが待つ。山下堅は「甲子園はなくなったけれど、県で優勝してから悔しがろうと言ってきた」と表情を引き締めた。「もしかして」を再び現実にしてみせる。
長崎西が“大金星” 創成館に2-1 山下堅完投、4安打1失点
- Published
- 2020/07/20 09:54 (JST)
- Updated
- 2020/07/21 00:05 (JST)
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