東京五輪開幕まで1年 夢舞台目指す長崎県勢 代表内定選手の現状や思い

柔道男子81キロ級の永瀬(旭化成)。2大会連続の出場を決めた=大阪市、丸善インテックアリーナ大阪

 国内のアスリートにとっての東京五輪は、それぞれの競技人生で一度しか体験できない自国開催のビッグイベント。それも年齢的に自らのピークがマッチするという条件まで必要となる。そんな特別すぎる舞台を目指して、ひた向きに努力を続ける選手たち。長崎県勢も開催されることを信じて、日々を積み重ねている。コロナ禍で仕切り直しとなった東京五輪開幕1年前の7月23日を前に、代表内定者、主な候補選手の現状、思いを紹介する。

 東京五輪の延期が決まった3月24日。この時点で県勢は柔道男子81キロ級の永瀬貴規(旭化成、長崎市出身)、カヌー男子の水本圭治(チョープロ、岩手県出身)、ライフル射撃男子の松本崇志(自衛隊、島原市出身)が日本代表に内定していた。延期に伴う代表再考論も浮上したが、7月までに3人全員の内定が維持された。

 水本は最も早い4月上旬に内定維持が決まった。コロナ禍で4月中旬から1カ月ほど、水上練習ができなかったが「自分の漕ぎを見直すいい機会」と捉えて室内トレーニングに集中。現在はカヌーの強化拠点である石川県で代表合宿に励む。調整は順調のようで「1年延期が決まった時から、気持ちは変わっていない。一日一日、少しずつでも、本番までにどれだけ速くなれるか考えていく」と意気込んでいる。

 永瀬に朗報が届いたのは5月中旬。柔道は実戦形式で“密”が避けられないため、慎重な練習再開指針に沿って体を動かしてきた。「つい先日まで、トレーニングやランニングが中心」で、それから道着での稽古を段階的に開始。「今は慌てることなく、時間をかけてしっかりとつくり上げていきたい」と気を引き締める。1年後の本番に向けては「五輪が開催されて良かったと思ってもらえるようなパフォーマンス、そして結果を届けたい」と闘志を燃やす。

 ライフル射撃は今月11日に方向性が示された。来年1~3月をめどに実施される記録会で、一定の基準を超えることが条件となっているが、松本の安定感があればクリアする可能性は高い。現在は本番の試合会場に隣接する自衛隊体育学校で腕を磨き、記録会などで試合感覚を高めている。五輪の延期についても「夏の本番に近い環境を経験できることは有利に働く」と前向きに捉え「あと1年、準備期間をいただいたと思い、技術を高めてメダル獲得を目指す」と気持ちを新たにしている。

ライフル射撃男子の松本(自衛隊)。2008年北京大会から、計4度目の挑戦で五輪切符をつかんだ=ドーハ

 3人以外にも、五輪切符をつかんだ長崎県ゆかりの選手がいる。自転車トラック女子の小林優香(日本競輪選手会)は佐賀県出身だが、中学時代は諫早中バレーボール部で汗を流していた。鹿児島県出身でセーリング男子470級の外薗潤平(JR九州)は、2016年から長崎支社に所属。県内で車掌経験もある。

主な出場内定選手と主な出場有望選手

© 株式会社長崎新聞社