新型コロナから復帰のナッセ組31号車キャデラックが総合優勝/IMSA第3戦セブリング

 北米スポーツカーシリーズの最高峰、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の2020年シーズン第3戦セブリングは7月18日、アメリカ・フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで決勝レースが行われ、ウィレン・エンジニアリング・レーシングのフェリペ・ナッセ/ピポ・デラーニ組31号車キャデラックDPi-V.Rが総合優勝を飾った。

 いまなお猛威を振るう新型コロナウイルスの影響でシーズンの中断を余儀なくされていたウェザーテック・スポーツカー選手権は、今月上旬にデイトナで2時間40分レースを実施しチャンピオンシップを再開させた。

 それから2週間後の7月17~18日に設定され“キャデラック・グランプリ”と銘打たれた第3戦のエントリーリストには、第2戦デイトナをスキップしたLMP2チームのマシンも登場。4クラス合計29台のマシンが名を連ねている。

 前戦に引き続き、変則日程での開催となったラウンド3の予選では、今年からシングルカー体制となったアクション・エクスプレス・レーシング(ウィレン・エンジニアリング・レーシング)の31号車キャデラックが、デラーニのアタックでポールポジションを獲得する。

 2番手はアキュラ・チーム・ペンスキーの6号車アキュラARX-05、3番手には開幕戦デイトナ24時間を制したコニカミノルタ・キャデラックDPi-V.Rの10号車がつけ、選手権をリードするマツダモータースポーツの77号車マツダRT24-Pが4番手という予選トップ4の並びに。

ポールポジションからスタートしたウィレン・エンジニアリング・レーシングの31号車キャデラックDPi-V.R 2020年IMSA第3戦セブリング

 迎えた2時間40分の決勝レースは、そのスタート直後に10号車キャデラックと77号車マツダが、ファン・パブロ・モントーヤ駆る6号車アキュラを強襲。2台にパスされたアキュラは2番手から4番手に順位を落としてしまう。

 一方、ポールシッターの31号車キャデラックは序盤から快調に逃げを打つ展開に持ち込むと、序盤に導入されたFCYフルコース・イエロー・コーションをもろともせずレース中盤、終盤にかけても他車を圧倒。

 結局、31号車キャデラックはピットタイミング以外では一度も順位を譲ることなく首位を守り、今季初優勝をポール・トゥ・ウインで決めている。なお、新型コロナの陽性反応が出たことで急きょ第2戦を欠場することになっていたナッセは、今回の復帰ラウンドで見事勝利を飾ることとなった。

■ワン・ツーかと思いきや、望外の結果に

アキュラ・チーム・ペンスキーの7号車アキュラARX-05はレース序盤にトラブルがみられたものの、僚友6号車に続く7位でフィニッシュした。

 総合2位は予選3番手からスタートした10号車キャデラックが獲得。こちらも31号車と同様に、レース中盤からはひとり旅の様相となった。

 対して3位争いは中盤まで6号車アキュラと2台のマツダによって激しく争われ、これを制したマツダ勢が3、4番手で最終盤に突入する。しかし、ファイナルラップで2台が揃ってガス欠でストップ。このまさかの展開で利を得たマスタング・サンプリング・レーシング/JDCミラー・モータースポーツの5号車キャデラックDPi-V.Rが総合3位でチェッカーを受けたことで、“キャデラック・グランプリ”でキャデラック勢が表彰台を独占するという結果がもたらされている。

 開幕戦以来の登場となったLMP2クラスでは、デイトナ24時間ウイナーであるドラゴンスピード・USAの81号車オレカ07・ギブソン(ヘンリック・ヘドマン/グスタボ・メネゼス組)が連勝を達成した。ポールシッターのPR1マティアセン・モータースポーツの52号車オレカ07は2位、エラ・モータースポーツの18号車オレカ07が3位表彰台を獲得している。

■痛かったピットレーンでの同士討ち

 GTLMクラスはポルシェGTチームの912号車ポルシェ911 RSRが予選4番手から抜群のスタートを決め、2台のコルベットを交わしてトップに躍り出ると、そのままレース序盤戦をリード。だが、スタートから30分過ぎ、コース上でストップしたマシンを回収するために出されたFCY中のピット作業で事件は起きる。
 
 ピット作業で912号車を先行した僚友911号車ポルシェが、ファストレーンを走るコルベット・レーシングの4号車シボレー・コルベットC8.Rと接触する。911号車はその反動でピットボックスを離れようとした912号車の左フロント部に車体右後部をヒットさせてしまう。
 
 これによって912号車ポルシェのフロントカウルが脱落し、再度ピットインを余儀なくされる。また、レース再開後には911号車ポルシェの右リヤタイヤがパンク。ポルシェ勢は勝負圏を失うことになった。

 ライバルの自滅によって楽になったコルベット勢は予選2番手の4号車コルベット(オリバー・ギャビン/トミー・ミルナー組)が今季初優勝。ポールシッターの3号車コルベットC8.Rが2位を獲得し、ワン・ツー・フィニッシュを決めた。BMW勢はペースが伸びず4、5位でフィニッシュ。クラス3位には912号車ポルシェが入った。
 
 GTDクラスはエイム・バッサー・サリバンのレクサスRC F GT3(ジャック・ホークスワース/アーロン・テリッツ組)がライバルとの接戦を制し2連勝を達成。スクーデリア・コルサの63号車フェラーリ488 GT3がクラス2位、ターナー・モータースポーツのBMW M6 GT3がクラス3位表彰台を獲得している。
 
 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の次戦第4戦ロード・アメリカは7月31日~8月2日に開催を予定している。レースフォーマットは今戦と同じ2時間40分の時間制だ。

LMP2クラスで優勝したドラゴンスピード・USAの81号車オレカ07・ギブソン
第3戦セブリングでワン・ツー・フィニッシュを飾ったコルベット・レーシングのシボレー・コルベットC8.R
3位表彰台を目の前にしてガス欠でストップ。4位となったマツダモータースポーツの77号車マツダRT24-P
第2戦デイトナ、第3戦セブリングで連勝を飾ったエイム・バッサー・サリバンの14号車レクサスRC F GT3

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