<大ヒット盤>赤い公園『THE PARK』新体制で自己最高位

 新ボーカル、石野理子が加入した女性4人組バンド。新体制初となるフルアルバムは週間チャートで自己最高位をマーク。全11曲を聴いて、再デビューしたんだと感じた。

 まず、特別になりたいともがく若者が描かれたポップロックの『Mutant』や、クールな歌声とハードな演奏が好対照な『絶対零度』などどれも瑞々しい。それでいて『ジャンキー』の「傷つけてくれてサンキュー」といったフレーズや、随所に見られる対句表現など、言葉の感覚も面白く、全体の詞曲を手がける津野米咲の手腕が光る。

 5曲目『Unite』から『夜の公園』までの4曲は、以前よりもキュートなラブソングだと感じた。『ソナチネ』では、「ずっと離さないで」「私たちは大丈夫」と言いつつ、実はそれを回想していると気づくと身震いするし、「誰にも見せない部屋着からちゃんとした部屋着に着替えて」、片想いの男性の相談に乗るという展開も妙にリアルで切ない。

 そして、ラスト3曲『曙』『KILT OF MANTRA』『yumeutsutsu』は、リセットした不安の中でも仲間を信じた上で、一気にハジけるという今の4人の決意表明のようで清々しい。最近、アップテンポな女性ボーカル曲が注目されているが、楽曲の構築力において赤い公園も忘れてはならないだろう。

 初回盤には、前年にYouTubeで配信された穏やかなLIVE音源を収録。本作を聴けば、新たな環境で何かを始めたいという時に大きな励みとなるはず。

(ソニー・2CD初回限定盤 3273円+税)=臼井孝

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