宇都宮市内にある精神科病院で生活保護を受給している患者の診療記録に問題があり、適切な入院が行われていないとして監査を委託されていた医師が、市などに対して立ち入り検査を実施し詳しく調査するよう行政指導を求める申出書を提出しました。
会見した朝信 泰昌医師と弁護士によりますと、朝信医師が宇都宮市から委託を受けて生活保護法の指定医療機関となっている市内の精神病院で、2015年1月に法律に基づく指導に立ち会った際、患者3人が認知症の診断を受けながら、それを判断するための代表的な検査が行われていなかったことが分かったということです。
さらに2018年7月、朝信医師が再びこの病院の指導で長期入院患者の診療記録を確認した際、少なくとも9人が認知症の記載があるにもかかわらず、その薬を服用した記録がなかったり、精神障がいのある患者などが強制的な入院が必要である場合の「医療保護入院」としているのに明確な理由がなかったりしたということです。
朝信医師は、宇都宮市に再三、この病院に指導を行うよう求めてきましたが、詳細な調査が行われなかかったため管轄する市と、県、国に対し、病院に立ち入り調査を行うよう求めています。
朝信医師らは、問題の多くが黙認されたままで、本来必要のない医療費が公費によって負担させられている可能性があると指摘しています。
宇都宮市の担当者は、とちぎテレビの取材に対し「申出書の内容を精査したうえで法律に基づき適切な対応を取りたい」と話しています。