読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、56歳、パートの女性。現時点の資産は1000万以下。年金と受け取り予定の個人年金650万円で老後を楽しめるのか不安とのこと。FPの飯田道子氏がお答えします。
老後生活費として月30万は必要と考えています。資産としては現時点で1000万もありません。老後不足分として今後受取りの出来る個人年金が合計650万円です。夫は現在の仕事は65歳まで働く予定。夫と年が6歳離れているので夫目線で人生考えてみたところ、可能ならそろそろ2人で楽しみたいと思います。
ここのサイトを見ると、他の家庭では老後資金が我家よりも多く少し恥ずかしくなりますが、もう少し貯蓄額を増やした方がいいのでしょか?お金はあった方が安心ですがキリがないし、何に幾ら位かかるか未知ですが、現在資産としてある額で冠婚葬祭、必要費用として残し、年金不足部分はこれから受取る個人年金と考えてもいいでしょうか?
【相談者プロフィール】
性別:女性、56歳、既婚(夫:62歳)
職業:パート・アルバイト
子どもの人数:2人(28歳、23歳、ともに独立済み)
同居家族について:夫
毎月の世帯の手取り金額:35万円
相談者:契約社員、月収手取り14万円、60歳まで働く予定。
夫:前勤務先は早期退職、その後再就職し月収手取り21万円。65歳迄は働く予定。
住居の形態:持ち家(戸建て)
年間の世帯の手取りボーナス額:20万円
毎月の世帯の支出の目安:32万円
【支出の内訳】
住居費:2.5万円
食費:5万円
水道光熱費:1.8万円
保険料:4万円
通信費:2.2万円
車両費:3万円
お小遣い:4万円
その他:車買い換えの積立2.5万円ほか
【資産状況】
毎月の貯蓄額:4.5万円
ボーナスからの年間貯蓄額:0
現在の貯蓄総額:720万円
現在の投資総額:90万円(株)
現在の負債総額:170万円(リフォームローン)
老後資金:基礎年金&厚生年金(年間)夫約190万円、妻約116万円
飯田: 老後生活費として月30万円は必要と考えている相談者様。とはいえ、現在の資産は1000万円未満。ただし、今後受取り出来る個人年金保険は合計で650万円あるとのこと。ご主人は現在62歳。65歳まで働く予定のようですが、子供も既に独立した今から、2人で楽しむことを考えているようです。
相談者様としては、現在の資産のなかから冠婚葬祭費用を残す。年金不足部分は、これから受取る個人年金をあてるようにしても良いのか? と、お悩みを抱えています。
支出するべき費用を見積もってみましょう
相談者様は、貯蓄額が少ないことを恥ずかしく感じているようですが、決して少ない訳ではありませんよ。資産としてマイホームがありますし、個人年金保険も650万円もあります。子供を育てあげ、かつ、ここまでの資産を築くことができたのは、夫婦でがんばってきたからこそ。まずは、そのことを認めて下さいね。
相談者様も仰っていますが、最も不安な要素となるのが、この先、いくらかかるのか分からないということです。必要となる費用は人それぞれに違いはありますが、冠婚葬祭費用などなら、あらかじめ予想することができます。自分たち場合はどれくらい準備しておくと良いのかを考えておくことが大切です。
葬儀費用はいくら準備するべき?
生命保険文化によると、葬儀にかかる費用は全国平均で約178万円です。これは小規模な家族葬から、一般的に人が会葬に訪れる葬儀も含まれた金額ですので、自分たちはどのような葬儀を望むのかを考えておくことが必要です。
ただし、葬儀の費用は原則、後払いでOKです。会葬者がいる葬儀の場合、香典を支払いにあてることができますので、全額を準備しておかなければならないというものではありません。
これらを踏まえると、1人あたり150万円前後、葬儀費用として準備しておくことが望ましいと言えるのではないでしょうか?
単純計算で300万円ですので、現在の資産で葬儀費用は賄うことは可能です。
セカンドライフで具体的にやりたいことを考える
ここで考えて欲しいのが、セカンドライフの過ごし方です。夫婦で楽しむといっても、旅行をする、映画を観に行く、ハイキングをするなど、やりたいことによっても、かかる費用は違ってきます。是非、一度、夫婦で話し合い、どのようなセカンドライフを送るのかのライフプランを立ててみて下さい。
やりたいことが明確になってきたら、それを楽しむにはいくら必要なのかを考えて、楽しむ周期などを調整していって下さい。
その他、介護に関することも家族で話し合ってみて下さい。万一、介護が必要になったときには、どこからお金を捻出するのか、家族でどのようにフォローをしていくのかを考えておくと安心です。
家計の見直しをする。とくにマイカーは要検討
特に無駄遣いをしている様子はないのですが、気になるのが車両費と買換え費用です。
年齢を重ねると判断がにぶり、事故を起こす可能性も高まってきます。いつまでマイカーを持つのか、夫婦で話し合うことをお勧めします。
車両関連費は、合計で5.5万円。マイカーを手放すだけで、その分、生活費にゆとりが生まれてきます。
生活費の不足分を個人年金から補てんして大丈夫?!
現在の公的年金の受給見込み額は、夫婦で306万円。毎月30万円の支出を想定されていますので、年間支出は360万円。不足額は44万円になります。
まず、マイカーを手放した時点で5.5万円の支出が減ることになります。現状の毎月の支出額は32万円ですので、マイカーを手放した後の毎月の支出額は26.5万円で年間318万円。公的年金の見込み額との差額は、年間で12万円。1カ月1万円です。これならば、公的年金だけでも、生活費をやりくりできる範疇になってくるのではないでしょうか?
相談者様の場合、個人年金保険が合計650万円あります。大きく切り崩すようなことが起こらなければ、個人年金保険から補てんしても大丈夫でしょう。
生活に変化があったときは早めに対応を
とはいえ、この数字は、あくまでも現状を反映した数字に過ぎません。ライフプランの変化や健康上に問題が生じた場合には、早めに家計の見直しをし、軌道修正していくことが大切です。
夫婦そろって働くことができるのは、この上なく幸せなことであり、お金を貯めることのできる最後のチャンスです。健康なうちにセカンドライフについて考え、生活全般を通して無駄がないのかの見直しもしてみて下さい。
無理をしなくても良いのですが、今が頑張りどきです。
相談者様が有意義なセカンドライフを送れるよう、応援しています。