中堅は福留か、近本か… 6連勝お預けの阪神、さらなる浮上のカギを専門家が指摘

阪神・近本光司(左)と福留孝介【写真:荒川祐史】

中堅は前日に続いて福留がスタメン、解説者の野口寿浩氏は「近本を外してほしくない」

■阪神 3-3 広島(22日・甲子園)

阪神は22日、甲子園での広島戦に3-3で引き分けた。8回にサンズの5号ソロで勝ち越したものの、9回に大山のエラーなどで2点を奪われ、逆転を許す苦しい展開。しかし、その裏に近本が同点打を放ち、引き分けに持ち込んだ。

5連勝中の阪神だったが、この日は惜しくも白星がつかず。だが、ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、2018年までヤクルトで2年間、バッテリコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏は「いい時に反省材料を潰していくことは大事」とあえて指摘した。その上で、前日から採用されている「中堅・福留」の布陣について触れ、「今だから近本は外してほしくない」と言及。打撃不振でスタメンを外れながら、途中出場で同点打を放った2年目外野手を使うべきだと話す。その理由とは……。

連勝ストップまであと1死と追い込まれながら、近本の一打で追いつき、負けなかった阪神。いい流れが途切れることはなかったが、こういうときこそ「しっかり見直してやっていくべきことがあります」と野口氏は語る。大ベテランを中堅でスタメン出場させる起用法については「福留が悪いということではなく……」と前置きした上で、こう話した。

「自分が阪神の捕手をやっていたら、センターはやはり動ける選手にやってもらいたいというのが本音です。もちろん、福留は守備が上手い選手ですし、実際にセンターでも素晴らしい。ただ、40歳を超えてさすがに動きは良くなくなってきています。他の選手だったら捕れていたけど……という打球が今後出てくるかもしれません。負担も大きい」

もちろん、近本が極度の打撃不振にあえいでいるのは分かっている。ただ、今のチーム状態であればスタメンで起用するほうがプラスだというのだ。

「福留は野球をよく知っている選手なので、とんでもないミスはしない」が…

「みんなのバッティングの状態が上がってきた今だからこそ、近本を外してほしくない。チームとしても、守備優先でもいいと思います。この日は貴重なタイムリーが出ましたが、スタメンから外していると近本の打撃も向上しないのではないでしょうか。福留は野球をよく知っている選手なので、とんでもないミスはしないでしょう。でも、いいところで『代打・福留』が出てきたほうが相手も嫌だと思います。トータルで考えると、あれだけの選手であっても、40歳を過ぎた大ベテランがセンターを守っているのはチームとしてどうなのかなと思います」

さらに、この日は7回1失点と好投しながら初勝利に恵まれなかったガルシアについても「結果的にはしっかりと抑えましたが、とにかくテンポが悪すぎますね」と指摘。「1点に抑えたことは素晴らしいですが、味方打線に点が入らなかった理由は自分にもあると考えて、改善すべきでしょう。実際に、途中からはテンポが良くなりましたから」とあえて言及する。

すべては、阪神が好調を維持して、今後さらに上昇していくための“提言”。勝っている今だからこそ、見直すべきことがあるというのだ。

「阪神が上がっていくためには、こういったところでもスキを見せないことが大事です。これから先、混戦になっていく中ででしびれる試合が出てくると思います。だからこそ、勝っている今のうちにしっかり見直してやっていくべきです。いい時に反省材料を潰していくことは大事になると思います」

負けなかったことは評価できるとはいえ、阪神にはまだまだ改善点があると野口氏は話す。この引き分けを“反省材料”にできれば、さらに上が見えてくるはずだ。(Full-Count編集部)

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