20歳の平野美宇、明るく楽しむ卓球へ 伊藤美誠・早田ひなの“黄金世代”から得た学び

写真:平野美宇(日本生命)/提供:クロス・ビー

東京五輪卓球日本代表に内定している平野美宇(日本生命)が22日オンライン取材に応じ、23日で1年前を迎える2021年東京五輪に向けての今の心境を明かした。

「いつ試合が来ても良いように備えるだけ」

平野は、2019年シーズンは史上最も過酷とも言われた五輪代表選考レースを戦い、団体戦メンバーに選出された。しかし、新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の事態により、史上初の五輪自体の一年延期が決まった。

写真:平野美宇(日本生命)/提供:ittfworld

「延期されていなかったら(五輪が)始まると思うと、今と違いすぎてびっくりします。今後いつ試合が始まるかわからない状況ですが、再開されたときに向け、今は毎日充実した練習をして、いつ試合が来ても良いように備えるだけ」と東京五輪の開幕まで1年となった今の心中を明かした。

五輪延期の知らせを聞いた際は「五輪に向けての準備期間が1年半になった点はよかった。ただ、モチベーションを1年半継続するのは大変じゃないかという思いもありました」と不安があったことも明かす。

実際に試合再開の目途が立たないことでモチベーション維持に不安を抱えるアスリートもいる中、平野は試合の中断している期間をポジティブに捉えていることができているという。

写真:平野美宇(日本生命)/提供:クロス・ビー

「去年は試合が多すぎて忙しかった。長くても1ヵ月くらいしかまとまって練習する期間がなく、1週間練習して3大会に行くこともあり、調整練習しかできなかった。今は練習時間があって強くなれる。試合前にはやらないような強くなるための練習ができている。試合がなくても自分の中で楽しみを見つけて、『この技術ができるようになる』などの目標を定めて練習していきたい」。

新たな挑戦は「ヨガ」

2019年シーズンは五輪代表選考を勝ち抜くため、世界ランクを上げるべく20大会以上に出場し世界各国を飛び回った。対照的に2020年シーズンは3月頭のカタールオープン以降、国際大会は中断し、国内でも大会が行われていない。

写真:平野美宇(日本生命)/提供:ittfworld

「今まではあっても半日オフだった。逆に今は1週間に1回1日休みがあってリフレッシュできる。外に出ることもないので、練習して休憩しての繰り返しですが、卓球に集中できている」と充実した日々を送れていることを笑顔で語った。

自粛期間、時間ができたことで新たな取り組みも行ったという。「ヨガにハマってます(笑)。元々体が硬かったんですけど、『体柔らかくなったね』とトレーニングコーチにも言われました。(練習中に)厳しいボールが入ったりして、ヨガのおかげかなと思ってます」。

黄金世代からの学び

卓球日本代表は6月22日から代表合宿を再開した。平野は合宿で伊藤美誠(スターツ)から刺激を受けたことを明かした。

「伊藤選手を見ていると、強くなりたいという気持ちがありながら楽しそうに練習していた。私は静かに練習するタイプでしたが、明るくやってみようと思い、楽しみながら声を出して自分で自分を盛り上げることを意識したら私も楽しくなってきました」。

「明るくやるにはどうしたらいいの?」と伊藤に尋ね、声を出し自分を盛り上げているということを学んだ平野は、“卓球を楽しむ”意識を取り入れた。

写真:左から平野美宇、伊藤美誠、早田ひな(2018年世界卓球時)/提供:新華社/アフロ

また、「早田選手と日本生命で練習したときに同じように明るくやっていた。自分も取り入れて前より明るく練習してます」と伊藤、早田の“黄金世代”の同級生から吸収し、新たな自分を見つけたようだ。

「いいプレーが見せられるように」

新型コロナウイルスの収束が見えず、卓球界ではいまだ国際大会再開の見通しが立っていない。だが、平野は自分にできることをすべく前を向く。

「いいプレーが見せられるように努力して練習するのみ。上手く成長していきたいと思っている。五輪が開催されたら、コロナウイルスが収束して世界が平和になったという象徴だと思うので、その中で一人でも心に刺さるプレーができたら団体戦で金メダルを目指していきたい。でもそれまでの過程も大事なので練習に取り組んでいきたい」と抱負を語った。

写真:平野美宇(日本生命)/提供:ittfworld

自粛期間中の4月14日に20歳の誕生日を迎えた平野。「20歳は大人の仲間入り。中身も大人にならないと。自分としてはまだまだなので年齢に中身が追いつけるように」と笑いながらも「20歳になったので責任感が生まれた。応援してもらってる方のためにも期待以上の結果や試合ができるようにしたい」と力強く意気込みを述べた。

文:ラリーズ編集部

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