プロ1本に絞った北海道No1右腕 最速148キロで挑む甲子園は「一番のアピールの場」

白樺学園・片山楽生(らいく)投手【写真:石川加奈子】

昨秋神宮大会4強入り、白樺学園のプロ注目エース片山楽生投手

昨秋の明治神宮大会で4強入りした白樺学園のエース、片山楽生(らいく)投手(3年)が甲子園交流試合での快投を誓っている。最速148キロを誇る道内高校生No.1右腕の希望進路はプロ一択。6月2日の全体練習再開以降、毎週のようにプロのスカウトが視察に訪れる中、甲子園で評価を一気に上げるつもりだ。

来月18日、甲子園で山梨学院と対戦することが決まった。強力打線とのマッチアップを熱望していた片山は「甲子園は一番のアピールの場。強豪校にベストでぶつかりたい」とはやる気持ちを抑えきれない。

昨秋の明治神宮大会でドラフト候補に名乗りを挙げた。初戦の国士舘戦に先発して8回1/3を6安打3失点(自責2)、準決勝の健大高崎戦は6回から2番手で登板し4回4安打1失点と好投。「困ったらインコース」と強気な内角攻めが光った。

研究熱心で自己分析能力の高い投手だ。昨秋全道大会決勝の札幌日大戦で4回途中9安打6失点と打ち込まれると、フォームの見直しに着手。「上半身が縦振りで下半身が横振りだった」と噛み合っていない原因を突き止め、わずか1か月できっちりと修正してみせた。

明治神宮大会後は「張られても打たれない真っすぐとウイニングショット」を追求し一冬を過ごした。体を大きくするために朝食で800グラム、夕食で1500グラム以上の米を食べるノルマを自らに課し、昨秋72キロだった体重は現在81キロ。「試合後には2キロ減るので、一番つらいトレーニングです」と言いながらシーズンインした今も同じ量を食べて81キロをキープしている。

白樺学園・片山楽生(らいく)投手【写真:石川加奈子】

冬場のトレーニングで最速は6キロ増の148キロも、投球内容には納得いかず

冬場の徹底した体幹トレーニングも実り、4番を任される打撃では練習試合再開後に3試合連続本塁打を放つなどパワーアップ。昨季142キロだった最速も148キロまで上がった。目標の150キロ到達も目前だが、片山自身、肝心の投球内容には納得していない。「パワーがついて重くなった体をまだ使いこなせていないんです。力んでしまって、余計な力が入ってしまう。今は悪いなりに我慢の時期。球数を放るにつれてフォームもつかめると思うので、今は焦らずに踏ん張る時期だと思っています」と冷静に分析する。

これまで西武・松本やソフトバンク・千賀らのフォームを参考にしてきたが、今見ている動画はプロの投手ではなく、自分自身のもの。「こう投げたいという理想はもうあるので。その理想にどうしたら近づけるかを考えています」。投球練習時には、背面以外の3方向から動画を撮影して、頭の中にあるイメージと実際の体の動きを一致させる作業を行っている。

今秋プロ志望届を提出する予定の片山にとって、アピールを目論んでいたセンバツが中止になっただけに、甲子園交流試合に懸ける思いは強い。「プロはずっと目指している場所。今はまだレベルに達していないので、甲子園でベストを出せるように。最後の大会になるので、しっかりやりきれるように準備します」と力を込める。

5日の練習試合を視察した日本ハムの白井康勝スカウトは「腕の振りが強く、球速は間違いなくこれからもっと出る(この日は最速142キロ)。四球を出さないコントロールの良さは指先の感覚を持っている証拠。公式戦を見るのが楽しみ」と高く評価した。

名前の楽生(らいく)には、漢字の「楽しく生きてほしい」という願いと英語の「人から好かれる人になってほしい」という願いが込められている。北海道独自の代替大会、そして甲子園交流試合へと続く高校野球最終章を楽しみながら、ベストピッチを披露する。

【動画】うなりを上げる剛速球は最速148キロ! プロも注目する北海道・白樺学園の片山楽生のプレー動画

【動画】うなりを上げる剛速球は最速148キロ! プロも注目する北海道・白樺学園の片山楽生のプレー動画 signature

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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