犠牲者に思いはせ 長崎大水害から38年 川平で慰霊祭

慰霊祭で手を合わせる参列者=長崎市川平町

 死者・行方不明者299人に上った1982年の長崎大水害から38年を迎えた23日、土石流で34人が犠牲となった長崎市川平町の内平地区では慰霊祭があり、住民ら約40人が犠牲者をしのんだ。
 慰霊祭は84年から同地区自治会が毎年開催。僧侶が読経する中、参列者は焼香をして手を合わせ、犠牲者に思いをはせた。尾崎恒夫自治会長(80)は「災害はいつ発生するか分からない。互いに助け合って防災に努め、子どもたちにも伝えていきたい」と話した。
 尾崎さんの妻、フミ子さん(77)は「ドンという大きな音とともに、一瞬で水が押し寄せてきた」と当時を振り返る。今月初旬の豪雨の際は「あの時を思い出して震えた」という。自宅では避難道具をリュックに詰めて常備している。「2度と起こらないように祈りながら、できることをやっていく」と誓った。
 母親とともに参列した西浦上小4年の渡邉良哉君(9)は「(長崎大水害を)あまり知らなかったけど、雨がひどいときはお母さんの言うことを守って行動したい」と話した。
 また、田上富久市長は市ホームページで「近年、豪雨による災害が全国で発生している。事前に自分の地域の災害リスクを確認しておき、命を守るために早めの避難を」と呼び掛けた。

© 株式会社長崎新聞社