長崎大水害から38年 災害への心構え伝え続け 県警察学校長 永峯さん

新人警察官を前に、長崎大水害の経験を語る永峯校長=長崎市小江原5丁目、県警察学校

 23日で発生から38年を迎えた長崎大水害。歳月の経過とともに、人命救助や復旧作業などで現場を経験した現職警察官は少なくなった。組織内で「生の声」を聞く機会が減る中、当時機動隊員として活動し、来春退職する県警察学校長の永峯一宏さん(60)は将来を担う新人警察官に「災害への心構え」を伝え続けている。
 「君たちの先輩方は一人でも多くの命を守るため、まさに命懸けで活動した」。6月末。永峯さんは警察学校の朝礼で、4月に入校した新人警察官約100人を前に自身の経験を語った。
 1979年に拝命し、機動隊は3年目。東長崎地区の人命救助などに従事した。道路は土砂や壊れた車で埋め尽くされ「想像を絶する光景だった」。数人を救出後も次々と生き埋めの一報が入り、夜通し活動したという。「災害は忘れたころにやってくる。平素から何をしないといけないかを考え、いざというときに備えてほしい」と呼び掛けた。
 長崎県警察史第三巻によると、長崎大水害では7月23日から32日間にわたり、警察官延べ2万5194人を動員した。県警警務課によると、現職で大水害を経験した人の数は把握していないが、遅くとも4年後には現場を経験した警察官は全員退職となる。
 永峯さんは「現場で自分なら何ができるかを常に考えておくことが大切。災害を経験したからこそよみがえる思いがあり、今後も伝えていきたい」と語る。

© 株式会社長崎新聞社