ゴルフに並ぶ人気車種となる? フォルクスワーゲン「T-Roc」の注目グレードを解説

フォルクスワーゲン グループ ジャパンは7月15日にクロスオーバーSUVである新型「T-Roc」を発表しました。世界はもとより、日本でもコンパクト&スモールSUVが売れている市場に投入した「ど真ん中」とも言えるモデル。価格、装備、そしてフォルクスワーゲンのSUVとしては初となる2トーンルーフの設定など時代にマッチしたものとなっています。


SUV戦略の第3弾モデル

すでに日本では先行して2017年に「ティグアン(2代目)」、そして2019年末に最もコンパクトな「T-Cross」を発売していますが、T-Rocはその間を埋めるモデルです。日本では、T-CrossはVW車の中で25%以上を占めるヒットモデルとなっています。

サイズ的には基幹モデルであるゴルフに近く、人や荷物をしっかり載せながら、街中からロングドライブまでオールラウンドにこなせるSUVとなっているのが特徴です。

VWのSUV初となる2トーンカラーには秘密が

T-Rocの特徴には豊富なボディカラーが挙げられます。シックからポップまで全9色を設定。そして今回、フォルクスワーゲンのSUVとしては初となる2トーンルーフを設定。ボディカラーに応じてホワイトとブラックの中から選ぶことができます。

2トーンルーフのホワイトはブルー系のボディカラーで選べます

昨今2トーンカラーはSUVに限らず日本市場では人気ですが、これを選ぶとモデルにもよりますが、大体5万円以上はオプション料金が発生します。

しかし、今回のT-Rocが特筆すべきなのは2トーンを選んでも価格は据え置き(イエローは除く)という点にあります。後述する車両価格や充実装備だけなく、ボディカラーにも価値を付加した点により、同社がT-Rocに対し、かなり力を入れていることもうかがえます。

グレードは4種類設定

T-Rocのグレードは「TDI Style」「T-Roc TDI Style Design Package」「TDI Sport」「TDI R-Line」の4種類の構成になります。

215/60R16を装着。装着されるタイヤサイズは4グレードとも異なる

それぞれの違いは写真で確認してほしいのですが、基本の造形はSUVとしての力強さのほかにクーペ的なスポーティなデザインが特徴です。

室内も基本デザインは同じですが、注目は下から2番目の「T-Roc TDI Style Design Package」。このグレードのみボディカラーに応じてブルーとイエローのダッシュパネルが設定されます。また「TDI Sport」にのみ、レザーシートがオプション設定されます。

この他にも最もスポーティな「TDI R-Line」はフロント&リアバンパー、サイドスカート、リアスポイラーなどの専用エクステリアが装着されます。

インフォテインメントは全グレード標準装備

この他に新型T-Rocには同社のインフォテインメントシステムである「Discover Pro」が全グレードに標準装備されます。このシステムはSSDカーナビの他、DVD/CDプレーヤー、地デジなどの多彩なソースに対応。渋滞回避能力にも優れたVICS-WIDEやETC2.0も標準装備します。

純正インフォテインメントシステム「Discover Pro」の画面サイズは8インチ

さらに驚いたのが現在のフォルクスワーゲン車に標準/オプション設定されている「デジタルメータークラスター“Active Info Display”」までも標準装備されている点です。

「Active Info Display」も全グレード標準装備

エントリーグレードの「TDI Style」の価格は384万9,000円ですが、後述する安全装備も含め、これだけの内容が付いてこの価格、言い換えればエントリーグレードでも手を抜かずコスパを高めている点は大きな魅力と言えます。

パワートレーンは割り切り?

T-Rocに搭載されるパワートレーンは2.0L4気筒クリーンディーゼルターボのみ、これに7速ATを組み合わせます。駆動方式もFFのみという割り切りですが、ティグアンなどとの進み分けを考えた場合、価格との兼ね合いも見るとまずはベストな選択に感じます。特にこのクルマのキャラクターを考えると長距離を走るスタイルも多いでしょうし、現在の日本におけるVWのSUVの約8割がこのディーゼルエンジンということからも納得です。

2L直4TDIは最高出力110kW、最大トルク340Nmを発生

一方でAWDに関しては同社のティル シェア社長が市場の動向を見て検討したい、と発言していたので将来に導入する可能性は高いのかもしれません。

先進安全装備はもちろん充実

VWのADAS(先進運転支援システム)は「フォルクスワーゲン オールイン・セーフティ」のネーミングが与えられていますが、全グレードに全車速追従機能付きのACC(アダプティブクルーズコントロール)やプリクラッシュブレーキなどを標準装備します。

プリクラッシュブレーキは全グレード標準装備

上位系のグレードには駐車を容易にする「パークディスタンスコントロール」なども装着されていますが、この辺は価格とのバランスで有無が決まってきます。

それでも全体の価格と装備のバランスを考えると、自社であればゴルフすら脅かすほどの充実ぶり、もちろんゴルフもそう遠くないうちに新型が日本でもデビュー予定なので単純比較はできませんが、販売を支えるモデルになりそうな予感がしています。

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