中日のA・マルティネスが秘める可能性 専門家が絶賛する捕手としての資質とは?

中日のアリエル・マルティネス【写真:荒川祐史】

キューバ出身の24歳、先発マスクを被って1点差勝利をリード

■中日 1-0 阪神(25日・ナゴヤドーム)

中日は25日、ナゴヤドームでの阪神戦に1-0で勝利した。先発マスクを被り4投手をリードしたのは、来日3年目のアリエル・マルティネス。今季はすでに14試合に捕手として出場し、大きな戦力となっている。外国人選手が1軍で捕手を務めるのは、中日のディンゴ以来20年ぶりのことだが、阪神OBでメジャーでも活躍した藪恵壹氏は「固定概念を外してもいいかもしれない」と話す。

固定概念とは何か――。それは、言葉の壁がある外国人選手が捕手を務めるのは難しい、という考えだ。守備では扇の要となり、投手陣を叱咤激励しながら盛り上げる捕手には、コミュニケーション能力が求められる。外国人選手の場合、言葉の壁が立ちはだかるため難しい、とされてきた。

だが、この日、2年目右腕の勝野昌慶をはじめ、福敬登、祖父江大輔、R・マルティネスと4投手を受ける姿を見た藪氏は「マルティネスは構えた位置からミットを動かさないし、ボールを後逸させないで体で止めてくれる。ピッチャーを育てるタイプのキャッチャーですよ」と絶賛する。

「ピッチャーが投げやすいのは、的となるミットをしっかり構えてくれるキャッチャーです。投球動作の最中に、構えた位置からミットを動かすキャッチャーがいるけれど、投げづらく感じるピッチャーもいる。特に、若いピッチャーの制球力を上げるには、ミットをしっかり構えてくれるキャッチャーの方がいいですね。ワンバウンドした球も体で止めてくれるので安心感があるし、あの強肩は日本人には敵わない。二塁へ送球する時も、ピッチャーマウンドを過ぎたあたりから、ボールがさらにひと伸びする速さを感じます」

藪氏は7回に見せたリードも評価「あれは大きかったですね」

もう一つ、藪氏が感心した場面があるという。それが7回1死から木浪聖也を見逃し三振に仕留めた場面だ。初球ストレートを見逃し、2球目スライダーを空振りで追い込んだ後、2球ボールでカウント2-2。ここから木浪は10球連続ファウルで粘った。

「木浪がファウルファウルで粘った打席で、最後は低め真っ直ぐを要求して見逃し三振に仕留めた。あれは大きかったですね。もちろん、マウンド上の福がいいピッチングをしましたが、マルティネスのリードも良かった。あそこで出塁を許したら、ピッチャーの心理的ダメージはかなり大きい。上手くコミュニケーションを取りながら切り抜けました」

中日には木下拓哉、加藤匠馬という捕手がいる中で、最近では先発マスクを被る機会が増えてきたマルティネス。打撃の調子も良く、この日を終えて打率.333、2本塁打9打点を記録している。

育成出身の24歳キューバ人。同郷のビシエドやR・マルティネスをチームメートに持つことも好調の要因かもしれないが、今後の活躍次第では外国人捕手が珍しくない状況を生み出すきっかけになるかもしれない。

【動画】藪恵壹氏も絶賛の中日A・マルティネス 非凡な打力を発揮して放った来日初本塁打の映像


A.マルティネス
来日初ホームラン🌈⚾

力強く逆方向、右翼席にたたき込む💪💪💪

⚾プロ野球・公式戦(2020/7/14)
🆚中日×DeNA
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— DAZN Japan (@DAZN_JPN) July 14, 2020

【動画】藪恵壹氏も絶賛の中日A・マルティネス 非凡な打力を発揮して放った来日初本塁打の映像 signature

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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