「煙がパーンと上がり、石が崩れる音がした」。名水百選で知られる諫早市高来町の轟峡(とどろききょう)で25日、母子3人が遊歩道の崖崩れに巻き込まれ、2人が命を落とした。夏の4連休中に、緑が映える山あいで家族5人の休日は暗転した。
現場は、同町中心部と多良岳を結ぶ県道136号沿いの轟峡観光案内所近く。崩落した遊歩道は、高さ二十数メートルの轟の滝や境川に通じている。轟峡は大小30余りの滝があり、昨年5~9月のシーズンには、約3万8千人が涼を求めて訪れている。
遊歩道そばの飲食店にいた店主の妻(74)は「午後3時半ごろ、煙がパーンと上がり、地震のようにゴトゴトゴトと石が崩れる音がした」と証言。窓から外を見ると、遊歩道の一部が県道下からえぐられるように崩れ落ちていたという。「滝の近くに大人と子どもがいたようで心配」と救出作業をじっと見詰めていた。
午後5時15分すぎ、観光案内所から約200メートル下の県道沿い。警察官らがブルーシートを張り巡らせ、被害者2人が救急車に運び込まれた。規制線が張られた中、警察官や消防隊員、消防団員がスコップなどを手に次々と現場に向かった。
市商工観光課によると、今月初めの大雨で轟の滝近くの橋の欄干が倒れたため、橋の通行は禁止していたが、県道側から遊歩道を経て滝までの往来は可能だった。市総務課は「7日に現場を訪れ、目視で点検していたが、崖崩れは想定していなかった」とした。
えぐられるように崩落 諫早・轟峡で崖崩れ 家族5人の休日暗転
- Published
- 2020/07/26 11:00 (JST)
- Updated
- 2020/07/27 16:55 (JST)
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