チームの代打打率1割台も… DeNAラミレス監督が勝負の一手、乙坂を起用したワケ

DeNAのアレックス・ラミレス監督【写真:荒川祐史】

25日の広島戦で3連勝を飾り勝率を5割に戻したDeNA

■DeNA 6-2 広島(25日・横浜)

DeNAは25日、横浜スタジアムで行われた広島戦に6対2で快勝した。3連勝で勝率5割に戻したチームは阪神と勝率で並んだが、勝ち数の差で3位に浮上した。

6連敗で7試合勝ち星なしとどん底だった今週頭から、23日のヤクルト戦を完封勝利で連敗を脱し、前夜はサヨナラ満塁弾での劇的勝利。そしてこの日の投打に理想的な展開での3連勝は、ラミレス監督の日頃の言動を裏付けるものだった。

この日の試合前のリモート会見では、前日に復帰したばかりのオースティンについて言及。「復帰していきなり二塁打、四球とさすがの働きだったが、それよりも彼の存在自体が、相手に対して脅威を与えるはず。そこから得点のチャンスが生まれてくる」と影響力の強さを強調した。

その言葉通り、広島先発の床田は、初回に先頭の梶谷を討ち取ったが、2番に入ったオースティンを警戒し、ボールが先行して四球を与えた。そこから好調なロペス、佐野、宮崎の3連打で2点を先制し、DeNAが試合の主導権を握った。3回の追加点も、この回先頭のオースティンがフルカウントまで粘り、7球目にライトへ二塁打を放ち、続くロペスのタイムリーで貴重な追加点を奪った。2回を3者凡退で切り抜けた床田が、オースティンに流れを変えられたのは明らかだった。

試合を決定付けた6回、代打・乙坂の3ラン「結果的に乙坂を使うには、一番いいタイミングだった」

4回に2点を奪われて1点差となった6回には、1死一、二塁の場面で「スタミナ的にはもう1イニングいける感じだった」という今永に替えて、乙坂を代打に起用。広島を突き放す3ランと、見事に選手起用が当たった。乙坂の「得点圏だったので、ファーストストライクは変化球で来るイメージを持っていた」という言葉通り、2球目のツーシームをライトスタンドまで運んだ。ラミレス監督は「得点圏に走者がいなければ、今永を打席に立たせてもう1イニングいかせるつもりだった。結果的に乙坂を使うには、一番いいタイミングだったと思う」と自らの采配の的中を喜んだ。

今季のDeNAの代打成績は、前日まで63打席で打率.154、得点圏では.000と不振が続いていた。それでも乙坂は「結果は出ていなかったが、今年はレギュラーも控えも、みんなしっかり準備をして試合に入ることができていると思う」と胸を張る。指揮官も「シーズン序盤から(代打は)ずっと結果が残せていなかったが、全体的によくなっている感じがあった。たとえ結果が出なくても、いい形、いい内容の打撃も多かった。乙坂は最近、バッティング練習でもいい状態だったので、いい結果が出て嬉しい。今はいい流れなのかな、と思う」と、代打陣の復調を予感していた。

ラミレス監督が、日頃から常に口にする「流れ」という言葉。「野球は流れのスポーツ。連敗の後には、必ず連勝が来るもの」という言葉が、いよいよ現実味を増してきた。(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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