コロナウイルスをオゾンガスで不活性化させる試験、川口・ユニパックが開始 南銀の接待伴う店でデータ収集

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ユニパックではオゾンを使って除菌を行う。作業は遠隔操作で、濃度調節や空間の濃度確認用に、リモートコントローラーを開発した

 大型施設の空調設備に取り付けるフィルターの製造や洗浄再生を手掛けるユニパック(埼玉県川口市)は、新型コロナウイルス感染拡大の抑止対策として、室内の空間除菌など天井型エアコンに取り付ける新フィルターを開発した。空間除菌は、コロナウイルスを不活性化させる力があり自然界にも存在するオゾンガスを活用。新フィルターは、コロナウイルスは粉塵(ふんじん)に付着することが多いとされ、一般的な空調フィルターより不織布面積を大きくさせて捕集力を高めたほか、抗菌効果もあるという。

 さいたま市大宮区の「南銀座商店街」にある接待を伴う飲食店で試験を開始。運用データを集めながら改良を図り、他の飲食店などへの導入提案を進める方針。

 オゾン活用は、奈良県立医科大学などの研究グループが5月、オゾンが新型コロナウイルスを不活性化する力があることを発表したことを受けたもの。発表ではウイルスの不活性効果の指標「CT値」が330(オゾン濃度6ppmで55分暴露)では、最大で1万分の1まで不活性化できたとしている。

 同社では建築現場で発生する揮発性有機化合物をオゾンガスで除去する業務もあり、自社で特注のオゾンガス発生機を所有しており、それを活用する。ただ不活性化には毒性がある高濃度オゾンを発生させるため室外での作業が必須で、新たに空間のオゾン濃度の監視や濃度の調節を遠隔で行えるリモートコントローラーを開発した。これらの機器を使い空間に存在するウイルスなどを除菌する。

 新フィルターは花粉の吸着を目的に開発の「恵風」を改良した。装着する不織布の表面積は一般的なフィルターよりも10倍以上。抗菌効果を高めるため抗菌成分とされる銀イオンを塗布している。年1回のペースで洗浄と塗布を行えば、計4年は使えるという。

 コロナウイルスは粉塵に付着し空間を漂っているとされ、一般的なフィルターでは微細な粉塵などは捕集できないといわれる。新フィルターでは広大な表面積などにより、エアコン稼働で空気1回の通過で約10ミクロンの粉塵を9割以上、約5ミクロンは6割以上捕集が可能。密閉した空間で菌やウイルスが付着した粉塵が捕集され、フィルターに銀イオンが染み込んでおり、室内に安全な空気環境が確保できるようになるという。

 松江社長によると、世界的な空調関連の研究団体「ASHRAE(アメリカ暖房冷凍空調学会)」がコロナの感染経路について、飛沫(ひまつ)や接触のほか、菌が付いた粉塵を介しての感染の危険性を発表したことを紹介。「塵埃(じんあい)感染の対策を講じる必要性が強調されている」と、今春から新フィルターの開発を推進してきた。

 松江社長は、日常的な予防対策があまり進んでいない状況を踏まえ「自社技術を結集し社会貢献しようと、各種開発に取り組んできた」と話す。その上で「建物内にある天井型エアコンに当社の新フィルターを取り付けるだけで空気清浄ができるだけでなく、コロナ対応も進む」と話している。

ユニパックが新型コロナウイルス対策も含め開発した新フィルター。花粉対応の「恵風」を改良した(いずれも同社提供)