新型コロナウイルス 長崎県内 医療提供体制の現状は、いま

感染ピーク時 入院286人 最大395病床を確保 検査1日2000件に

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感染拡大を受け約2カ月ぶりに開かれた県の対策本部会議=21日、県庁

 長崎県内では今月に入り新型コロナウイルスの感染者が急増し、50人を超えた。医療機関でクラスター(感染者集団)が発生した長崎市だけでなく、県内全域に拡大。県はどのような医療提供体制で対応しようとしているのか。現状を紹介する。

 21日午後、県庁。中村法道知事は5月下旬以来の対策本部会議に臨み、急増する感染者への対応を県幹部と協議していた。終了後に記者会見し、感染状況に応じた5段階の「フェーズ」を県本土部で「2」に引き上げたことを明かしながらも、「市中に感染がまん延している状況ではない」と説明。「感染経路を早急に解明し、事態の早期収束につなげたい」と強調した。
 県は6月中旬の国の通知を受け、「新たな流行シナリオ」に基づく医療提供体制の構築に着手した。感染ピーク時の県全体の入院患者数について、従来は“感染源”とされる中国・武漢の疫学情報や公衆衛生対策が行われないことなどを前提に約2700人と推計。今回は国内の感染状況や社会への協力要請の効果を踏まえ、より実情に合致した入院患者数を推計した。
 感染発生時のフェーズ「1」から感染ピーク時のフェーズ「4」までの段階的な即応病床数を算出。フェーズ「4」では1日当たりの県全体の推計入院患者数を286人とし、即応病床数はそれを100以上上回る395床(35病院)を確保する。286人のうち人工呼吸器や人工心肺装置「ECMO(エクモ)」が必要な重症者は42人としているが、395床のうち重症者用は27床(6病院)しかなく拡充を急ぐ。

 軽症者用の宿泊療養施設は長崎、佐世保両市に各1カ所ずつ民間ホテルを確保し計157室。離島の壱岐市でも市の施設に6室を準備。感染ピーク時の宿泊療養者は県全体で123人と推計し、部屋数だけを見ると足りているが、壱岐以外の離島には現時点ではない。離島を優先しながら県内八つの2次医療圏に各1カ所、計約600室を本年度末までに確保する。各施設では、県の看護師や職員が患者の健康管理、生活支援に当たる。
 感染者の早期発見でクラスターを防ぐため、検査体制の強化にも取り組んでいる。現在は県内22機関がPCR法とより迅速なLAMP法で1日に最大計634件を検査できる。年内には長崎大だけで千件超のPCR検査が可能になる見込みで、県全体で約2千件まで拡充する。
 また今春、長崎港に停泊中のクルーズ船で集団感染が発生した際、陸上自衛隊のコンピューター断層撮影(CT)車が現地で乗組員の診断に役に立ったため、今後のクラスター発生に備えてCT車を県健康事業団に配備する。

長崎港に停泊中のクルーズ船でクラスターが発生した際に活躍した陸自のCT車(県提供)