長崎西 10年ぶり8強 伊藤「人生初」の一発

【3回戦、長崎西-島原工】3回表長崎西1死一塁、伊藤が右越えに2ランを放つ=県営ビッグNスタジアム

 23日に七回途中、雨天で引き分け再試合となった一戦は、最上級生3人が躍動する長崎西に軍配が上がった。大久保監督は「きょうもやっぱり3年生。試合ごとに成長して、立派にプレーした」と目を細めた。
 エース山下堅の活躍が目立つ中、この日、負けじと存在感を放ったのは伊藤だった。父の仕事の関係で小学時代、豪州で白球を追い始めた異色の競技歴。「野球も勉強も頑張りたい」と選んだ進学校での最後の夏、大きな仕事をやってのけた。
 初回に中前へ先制適時打を放って迎えた三回。1死一塁から内角の甘い球を強振すると、ボールは右翼席で弾んだ。身長165センチの小柄な体を目いっぱい使って引っ張った「人生初」の一発。「食事トレーニングで(昨秋から)体重を10キロ増やした成果が実った」と力強いガッツポーズとともにダイヤモンドを一周した。
 これで3-0とリードを広げると、直後の守りではもう一人の3年生で二遊間を組む吉村と併殺を完成させて相手の反撃の芽を摘んだ。その後は2年生も呼応。五回に四球と二盗、敵失で三進した吉村を太田がスクイズでかえすと、伊藤と山下堅らが塁を埋めた後、原口と山口がともに中前2点打を放ち、勝負を決めた。
 10年ぶりの8強の立役者となった伊藤をはじめ、3年生は口をそろえた。「優勝したい」。その言葉を軽んじる人は、もういない。

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