鷹今宮を支える1.27センチの変化と“間” 周東との二遊間コンビが秘める可能性

26日の日本ハム戦で今季初の1番に入ったソフトバンク・今宮健太【写真:藤浦一都】

ここ3試合で13打数8安打4打点

■ソフトバンク 6-1 日本ハム(26日・PayPayドーム)

ソフトバンクの今宮健太内野手が絶好調だ。26日の日本ハム戦では今季初の1番に入り、4打数2安打2打点の活躍でお立ち台に上がった。ここ3試合は本塁打を含む8安打の固め打ちで、打率3割も目前だ。26日の試合後、今宮が語った打撃好調の要因とは。そして、周東佑京内野手との師弟愛にも迫る。

26日の日本ハム戦。1番の今宮は、初回にフルカウントまで粘ってショートへの内野安打で出塁。2番の周東が送った後、柳田悠岐の内野ゴロ間に三塁へ進塁。中村晃のタイムリーで先制のホームを踏んだ。2回には下位打線が作った1死二・三塁の好機で2度目の打席。初球を躊躇なく振り切ると、レフトへの2点タイムリー二塁打。周東のバントヒットで三塁へ進み、柳田の犠飛で4点目のホームイン。さらに4回には四球を選んで出塁し、周東の三塁打でこの日3得点目を記録した。

「あれがでかかったですね」

今宮がそう振り返ったのが初回の内野安打だ。1番を任されたことで「何とか塁に出たいなと思っていました。当たりは良くなかったけど、ヒットになって良かった」と、先制点に繋がった出塁を喜んだ。今宮の1番起用を「(ここ2試合の好調さを)踏まえて、です」と説明した工藤公康監督も「あの1打席目の内野安打があったから次に繋がったんじゃないかな」と、初回の出塁を高く評価した。

ここ3試合での好調の要因を尋ねると、今宮は即座に「タイミングと間(ま)ですね」と答えた。「しっかりとタイミングが取れているから、体勢を崩されても粘れるし変化球をヒットにできている」と今宮。そのタイミングの取り方も「手でタイミングを取ったり、下(下半身)で取ったり。自分の中で二択あるので使い分けたい」とも語った。

そして、もう1つの要因として挙げたのが「松田(宣浩)さんのバットを使っていることですね」。「2戦目(実際は3戦目)の最後の打席、宮西さんが投げていた時。このままじゃ絶対に打てないと思って、勝手に持っていきました」と、松田に“無断借用”したことを告白。結果は中飛に終わったが「いい感じだったので」使い続けている。

今宮のバットは33.5インチ、松田のバットは34インチ。「その0.5インチ(1.27センチ)の差が全然違う」と言う今宮は、ちょっと長めのバットをあえて短く持つことで「振り抜きが良くていいスイングができる」とし、今後も状況に応じて自分のバットと使い分けていきたいという。

周東との二遊間は黄金コンビを彷彿

今宮の体調も決して万全ではなく、背中の張りなどでスタメンを外れたり、指名打者として出場することも少なくない。その際、今宮に代わってショートの守備に入る機会が多いのが、自主トレを共にしている周東だ。しかし、25日の試合では悪夢の6失点に絡む送球エラー。

それでも今宮は「あれは難しいところ。明石さんからの送球を受けて無理な体勢からの送球になった。誰にもあるミスだし、ミスを繰り返さないという意識を持つことですね。スローイングの安定感もあるから、自信を持っていけば必ずいい結果になると思う」と、弟分を思いやった。

26日の試合では、周東と二遊間を組んで3度の併殺を完成させた。さらに1番打者、2番打者としても大きく機能してチームの勝利に貢献した。「周東に打撃のことを聞いたら『僕、状態いいんです』って言ってましたよ」と笑いながら「今日で言えば僕らが3番、4番に繋いでいくのが大事な仕事」と言い切った。

今宮と周東の二遊間&1、2番は、守備力においても攻撃面においてもファンをワクワクさせるコンビではないだろうか。仮に2人の打順を入れ替えてもさまざまな攻撃パターンが生まれてきそうだ。

26日の2人の活躍に、2011年の川崎宗則、本多雄一の二遊間&1、2番を思い浮かべたファンもいることだろう。あの時は「川崎が出て、本多が送って、内川聖一が還す」という攻撃パターンが面白いように決まっていた。その後、本多・今宮の二遊間となって今宮が成長してきたように、今宮・周東コンビがソフトバンクの新たな顔となることを期待したい。(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)

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