病乗り越えてきた神事「夏山開き」 コロナ考慮し実施 伊勢原・大山

 神奈川県伊勢原市の大山(1252メートル)で27日、山頂への登拝(とはい)門を開く伝統行事「夏山開き」が行われた。新型コロナウイルス感染症を考慮し、今年は開門を担う大山講の信徒の参列を11人に絞って実施した。

 大山はかつて夏山期間(7月27日~8月17日)以外の登山が許されず、登拝門は固く閉ざされていた。東京・日本橋小伝馬町の大山講「お花講」が江戸時代中期から鍵を保管。通年登山が可能となった現在も継承者が門を開ける習慣を続けている。

 この日は、登拝門のある大山阿夫利神社下社境内で神事を実施。開門後にお花講のメンバーが「さんげ、さんげ、六根清浄(ろっこんしょうじょう)」とおはらいの言葉を唱えながら、山頂へ続く石段を上った。

 講元の大野泰昭さん(68)は「先人たちは病や恐慌を乗り越え、儀式を400年近く続けてきた。歴史の重みを伝えることがわれわれの役目。来年は日本橋から大山まで2泊3日かけて歩きたい」と話した。

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