NPB復帰を目指す元阪神・歳内宏明の今 四国ILでは「断トツの成績でインパクトを」

四国IL香川・歳内宏明【写真提供:香川オリーブガイナーズ】

昨季まで阪神に在籍した歳内は今季から四国アイランドリーグplusの香川でプレー

新型コロナウイルスの影響で四国アイランドリーグplusもシーズン開幕が遅れた。そんな中、NPB復帰を目指している1人の男がいる。昨年まで阪神に在籍し今シーズンから香川オリーブガイナーズでプレーする歳内宏明投手だ。

歳内は、兵庫県出身。聖光学院高から2011年、ドラフト2位で阪神に入団。主に救援投手として活躍したが右肩を痛め、2019年に戦力外に。1軍通算57試合、2勝4敗、4ホールド、防御率4.15の成績を残した右腕は12球団合同トライアウトを経て台湾プロ野球の味全でウインターリーグにも参戦し、今年1月に香川に入団。なぜ、NPBを目指すのか――。Full-Countの単独インタビューに応じた。

――香川入団までに台湾のウィンターリーグに参加していた

「台湾、味全の2軍で、日本の社会人代表やNPBのイースタン、ウエスタン・リーグ代表などと試合をしました。日本と違う環境で、プレースタイルが違う選手たちとプレーするのはいい経験でした。コーチはアメリカ人が多かったです。なかなか誰もが経験することができない経験ができたと思います」

――香川入団を決めたの理由は?

「球団側からオファーがありました。GM兼総監督に就任された松中信彦さん(元ダイエー、ソフトバンク)が声をかけてくださいました。住んでいる関西からも近いし、レベルがある程度高いイメージもあったので、ここでプレーしようと思いました」

――香川での目標は?

「NPBに復帰するしかないと考えています。そのためにプレーしています」

――阪神時代は右肩の故障に苦しんだ

「肩の故障は治るまでに1年ちょっとかかりましたが、今は100%の状態です。でも気を付けながらプレーしています」

――NPBの選手が独立リーグに移籍すると、球場や施設のギャップに驚くこともあるが

「阪神時代も地方球場でプレーしたことがありましたが、あまり大変さは感じていません」

四国IL香川・歳内宏明【写真提供:香川オリーブガイナーズ】

6月20日の開幕戦では3安打11奪三振の快投で完封勝利を挙げる

――新型コロナウイルスの感染拡大で開幕が遅れた

「2月にチームと合流したのですが、2か月たたないうちにコロナで、活動停止になりました。自粛中は、基本的に自宅にいて大人数では集まらないように気を付けながら、河川敷でキャッチボールをしたり、トレーニングルームでウエートトレーニングをしたりしていました。その時も選手同士でなるべく近寄らないように、ぎりぎりのところでやっていました」

――6月20日の開幕戦では、徳島インディゴソックスを相手に9回3安打11奪三振1四球で完封勝利

「阪神時代は中継ぎで、完封勝利は高校時代以来のことでした。プロ入りしてからは初めてでしたので、投げている間は不安はありましたが完封できました。紅白戦や練習試合でも長いイニングを投げていたので、準備はできていたとは思います。調子がめちゃくちゃよかったわけではありませんし、かといって悪かったわけでもない。相手が独立リーグだったから抑えることができたという部分はあったと思います。ただ変化球は、割といい感じで投げることができました」

「NPB復帰を目標にしていますが、最初から意識しまくったからといって帰れるものでもありません。シーズンに入ったら、次の試合を最大限の力で頑張ることしかありません。その中で、よりレベルの高い投球をするように考えています。シーズンのその先まで考えることはないですね。僕がNPBに復帰したいと思っても、NPB球団のチーム状況が影響してきます。どこのチームが声をかけてくれるかもわかりませんが、声をかけてくれたときにやれることをしっかりやっていないと、スカウトに見てもらえなかったりします。今できる最大限の努力をしよう、とずっと考えてきました」

――好成績を残すことがNPB復帰の一番の近道に?

「松中総監督からも“結果を出すしかない”といわれています。リーグでは断トツの成績でインパクトを与えたいと思います。それでも復帰できるかどうかはわからないですから、簡単ではないですね。数字的には防御率0点台、三振を誰よりもとって、安打、四球も誰よりも少なくて、それくらいで何とかなるかどうかと思います。味方のエラーもあるし、打線が打てないこともあるので、勝ちにはこだわりません。そういう成績をあげ続けて、そのうえでスカウトに見てもらいたいですね」

7月24日時点で4試合に登板し、2勝0敗、リーグ最多の33イニングを投げて16被安打、奪三振も最多の36個、4与四球、自責点3、防御率0.61。現時点では、有言実行のリーグトップクラスの成績をあげている。再び歳内はNPBの舞台に戻ってくることができるのか、今後の活躍にも注目だ。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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