Qual a diferença de intérprete e tradutor?(ポルトガル語で「通訳者と翻訳者の違いって何でしょう?」)
こんにちは!
明治安田生命J2リーグ、ファジアーノ岡山で通訳兼強化を務める平安山(へんざん)です。
ブラジルW杯やリオ五輪でも通訳をしていました。
冒頭のポルトガル語文ですが、一般的に通訳者は話し言葉、翻訳者は書き言葉を仕事にしています。
通訳者は様々な分野の会話を広く瞬時に変換する事が求められ、翻訳者は1つの専門分野を時間をかけて正確に変換する事が求められる場合が多いです。
どちらもやるという方もいますが、本格的に通訳か翻訳かどちらかを専門にして高いクオリティーで勝負する方もいます。
Jリーグでは“通訳”という役職名そのままに監督と選手間などの会話を繋ぐ通訳の仕事が多いですが、場合によってはメールの連絡など、簡単な翻訳をする事もあります。
私の場合は海外クラブの資料や契約書などの翻訳者としての仕事をする事もあります。
語学力を活かしてサッカー界へさらに様々な分野で貢献できる方法を模索していますので、何か良いアイデアがありましたらTwitterでコッソリ教えてください。笑
さて、この記事では通訳の語学力を活かした、従来のサッカー通訳とは少し違った仕事内容を提案したいと思います。
私は様々な仕事を兼任していますが、ここでは“通訳ならできそうな事”に絞ってご紹介させて頂きます。
通訳の語学力は、もっともっとサッカー界に活かせるはずです。
私が過去にお世話になったペルー1部アリアンサ・リマ(Alianza Lima)での取り組みには、海外の事例をクラブで共有し、クラブ全体のレベルアップやノウハウの蓄積を図るというものがありました。
例えばJクラブでは現在、脱属人化の流れがあります。
“働いている個人の能力や知識だけに依存せず、その人がいなくなっても組織として仕組みやノウハウが生き続ける状態”の実現に向けて進んでいます。
プロなので、結果次第でステップアップしたり、逆にステップダウンしてクラブを離れる事があるのは常です。
それも良い意味での緊張感を高く保ったり、常にクラブに新しい風が吹くという意味ではプラスの面もあると感じます。
一方で、残っていくもの、蓄積していくものの重要性もまた組織の成長のためには必要なのだと思います。
その上手い落とし所、バランス点を探しているのがJクラブの現在地です。
その一つが、各場面の優先順位や目標とするプレーを記したサッカーの設計図、いわゆる“ゲームモデル”の作成になります。
こう聞くとかなり専門的で学術的な話みたいですが、あくまで通訳としてここに貢献するには?という視点で書き進めます。
海外ゲームモデルの翻訳
ネットで検索すれば、各国のサッカー協会が自国の指導者向けに目指すべきプレーや模範となる指導方法、怪我予防ガイドラインなど、多岐に渡る資料を公開しています。
それらを利用して自分の知識を深めたり、一部を引用してゲームモデル担当者に見せてあげれば、それは非常に良い参考資料となり得ます。
ポルトガルサッカー協会 年代別育成ガイドライン
私のサッカー指導者としての実力が未熟で私自身の話を聞こうと思って頂けなかったとしても、海外有名クラブや監督の話を訳した内容であれば聞きたい方もいらっしゃるのではないでしょうか?
こういった語学を活かしたサッカー界への貢献も可能です。
元々私は自分だけが良い指導者になる事よりも、日本サッカー全体に優秀な指導者が増える事に興味があるので、継続して取り組んでいきたいと考えています。
ここまでの専門的な事でなくても、モチベーションの上がる動画の翻訳などもアリだと思います。
言葉は理解できなくとも、選手のモチベーションUPに繋がりそうではないですか?
南米のミーティングでは熱くストレートな言葉が多いので、翻訳すれば選手の刺激となるはずです。
指導者レベルアップへの貢献
ペルーのビッグクラブ、アリアンサ・リマでは、言語が同じスペイン語であるスペインやアルゼンチンの指導者の動画を用いて、自クラブのレベルアップを図っていました。
グアルディオラ監督の講演会の動画を育成部全員で視聴し意見交換会を行ったり、私を含む外国人指導者をクラブに招致して日本やブラジル、アルゼンチンの情報も積極的に手に入れる姿勢がありました。
子供たちの指導に活かして結果が出るのは10年後かも知れませんが、とても意義のある取り組みだと感じています。
ただし、島国の日本でやろうとすると語学の壁があります。
通訳のいるチームは多いのですが、アリアンサ・リマのように海外事例を取り上げて指導者の学習をサポートする通訳はいまだポツポツ、まだまだ珍しいのかなと思います。
実際、選手通訳と兼任だと業務量や求められる事が非常に多くなってしまうので大変ですが、日本サッカーの強化に語学力を活かす良い例だと思います。
2017年に行った「南米サッカー強さの秘密」講演会
実際にアルゼンチンのメッシを生んだ事で有名な育成の名門ニューウェルズ・オールドボーイズ(Newell's Oldboys)や、世界一にもなったブラジルのコリンチャンス(Corinthians)、貧しい地域ながらダニエウ・アウヴェス選手を鍛え上げたECバイーア(EC Bahia)などでの経験を講演会で日本に還元しました。
海外クラブに所属した事が無くても、海外サイトや海外サッカー協会、海外のYouTubeなどから資料を探せば沢山出てきます。
フロント(事業的側面)への貢献
サッカー通訳というとサッカー部門だけになりがちですが、語学は応用が効くので、フロントにも貢献する術があると思います。
例えば海外クラブの活動紹介はその一例ではないでしょうか?
一例として私のNoteやQolyでも執筆した記事を紹介します。
【サッカーチームのSNS担当必見!海外クラブの「SNS戦略」をまとめてみた】
サッカー通訳だとどうしてもフロント業務への理解度は限定的であったり、本職で何年も努力してきた方にはやはり知識と経験で及ばないでしょう。
しかし海外で同じように誰かが努力して編み出された一例を翻訳して参考にして頂くという形なら、ある程度通訳もフロントに貢献できるのではないでしょうか。
(例1)グッズ売り場のテレビ
ブラジル最大の人気クラブ、コリンチャンスではフード売り場やトイレに至るまでモニターを設置する事で、ハーフタイム以外にも席を立ちやすい仕組みがあります。
15分のハーフタイムで混雑する場面が生まれてしまうチームには、混雑緩和と試合の見逃しの減少など、顧客満足度の観点で参考にできるかも知れません。
グッズ売り場滞留時間増加による売上UPや、レジ待機列のイライラ緩和などにも応用できそうです。
(例2)コリンチャンスのトイレ
(例3)ECバイーアのVIPエリアにあるLIVE席
「旦那は試合、嫁は音楽LIVE(逆も然り)、子供はキッズエリア」を実現させ、「家庭があるから試合観戦に行けない」層を軽減できているのではないでしょうか。
また、試合後に渋滞が嫌な方がLIVEを聴きながらしばらくスタジアムに残って飲食をする事で、混雑緩和、顧客満足度アップ、飲食売上アップ、VIPチケットで客単価アップなどに繋がる可能性もあります。
スポンサーや重役向けのVIP席はまた別にあります。
サポーターへの貢献
広報やマーケティングに関わりますが、クラブの外国語版SNSアカウントを作ったり、チケットの買い方など訳したブログ記事を書いておけば検索された時に外国人サポーターの方々に便利ではないでしょうか。
外国人からすると検索した時にチケットや場所、楽しみ方を説明した記事が1つあるのかどうかだけでもスタジアムへ行くかどうかのハードルの高さは変わってくるはずです。
日本にいる外国人に親近感を持ってもらったり、日本人サポーターにも一つの楽しみとして、チームの応援歌の外国語バージョンを作るのも面白いですね。
まだ構想の段階ですが、私が今後取り組んでみたい仕事の一つです。
他クラブの例ですと、コロナ禍に通訳にできる事としてジュビロ磐田や鹿児島ユナイテッドFCの通訳がそれぞれの専門のサッカー用語の紹介や、外国語の勉強の仕方を積極的にツイートしています。
この記事の続編、通訳記事の第3弾で詳しく紹介します。
私もFC琉球時代には選手の素顔などをSNSで発信し、サポーターに喜んで頂ける事を意識して活動していました。
通訳は選手と距離が近いので、通訳による広報との連携はクラブのPRに役立てる可能性もあるのかなと思います。
ビジネス関係についての知見は私の公式Noteにちょくちょく書いていきますので、是非プロフィールから覗いてみてください。
また、Twitterアカウント、「ポルトガル語サッカー用語」「英語サッカー用語」「4languages!4ヶ国語学習」のアカウントも是非ご活用くださいませ。
サッカー留学で闘うための言葉や、サポーターの皆様が選手と会話するのに役立つ単語集などを載せています。
また、近いうちにゲーフラに使えるポルトガル語の本も出版を考えています。
チーム強化への貢献の可能性
通訳ならすぐできるというわけではありませんが、国際親善試合や非公式の国際大会の開催、スカウトなども通訳にプラスαを加えると語学という強みを発揮できるのかなと思っています。
語学だけでなく人脈構築や様々な手配のやり方を覚える必要はありますが、逆に国内の人脈や手配が完璧な方でも海外とのやり取りは苦戦しますので、強みにする事ができるのではないかと思います。
欧州や南米の強豪と試合する事も良い経験になりますし、韓国や東南アジアでも比較的安価で異文化の経験、Jリーグクラブと練習試合をするより戦術などの情報が漏れ難くもなります。
当然外国のクラブや代理人との交渉にも語学力があるとスムーズになります。
ここでちょっとCMになりますが、選手や監督、代理人など人と人の間に入る事の多い通訳という仕事において、このコロナ禍ではチームマスクを着用して感染防止に努めています。
私も一つ自腹で買いました。
人と人とを繋ぐ通訳という仕事なので、感染防止の観点で通訳のマスク着用は非常に重要な事となります。
まとめ
他にも様々な仕事がありますが、今回は「通訳ができそうな事」にテーマを絞ってお届けしました。
最後のほうは私がやってみたい、活かせそうだと思っている希望になってしまいました。笑
語学力にプラスして交渉力や目利きが加われば、他にも国際的な代理人やスカウトにもなれるかも知れませんし、書類作成や手続き関係などを覚えれば強化部の助けにもなれるはずです。
語学の活かし方はアイデア次第で無限大と感じます。
通訳が通訳以上の存在になるには、語学に何かを掛け算する視点が大事なのかなと思っています。
語学×交渉、語学×SNS、語学×サッカー文献など。
人脈、経済的視点、教育、なども活きると思っています。
まだまだ経験不足や至らない点もございますが、私には「サッカーで日本の幸福度に貢献する」という使命があるので、通訳にプラスして語学力を活かしながら今後活動していけたらと思っています。
何かあればTwitterでご指導・ご鞭撻宜しくお願いします。
【関連記事】Jリーグクラブの通訳が語る!あなたの知らない「スポーツ通訳」の世界
さて、我々ファジアーノ岡山は7/29の京都サンガF.C.戦、8/1のFC琉球戦、8/8の水戸ホーリーホック戦と、ホーム3連戦を控えます。
是非ともこのホーム3連戦を3連勝で勢いに乗り、可能であれば8月中旬からはコロナの影響も収まってなるべく早く多くのサポーターの方々と共にスタジアムで闘える日常が戻ってくる事を願っています。
Jリーグファミリーみんなで乗り越えましょう!