屋根裏をリフォームして、収納スペースや部屋にする方法。その費用とは?

「収納スペースが足りない…」「子ども部屋が欲しい」など、住宅のスペースにお困りの方は「屋根裏リフォーム」を検討してみませんか?屋根裏という名のデッドスペースは、収納や部屋のリフォームに最適な空間のひとつです。今回は、屋根裏を収納スペースや部屋に拡張する方法や費用、工期の目安についてお話します。

屋根裏部屋を拡張してトクすること|魅力を紹介

一般的に、屋根と天井板の間にある空間を屋根裏といいます。古来、日本の住宅では、屋根裏を物置にしたり、「蚕(かいこ)」の飼育場に使ったりと、さまざまな形で有効活用してきました。しかし、現代の住宅における屋根裏は、デッドスペースと化しているのが実情です。せっかく広い空間があっても、有効活用できていない住宅がほとんどでしょう。

そこで近年注目されているのが、屋根裏を収納スペースや生活空間として活用する「屋根裏リフォーム」です。屋根裏リフォーム最大の魅力は、既存住宅の広さ・間取りを変更せずに、新しい空間を確保できることです。倉庫や物置などの「屋根裏収納」にする、夫婦の寝室にするなど、選択肢も豊富です。

屋根裏の有効活用方法とは?屋根裏の空間をいかに利用するか

自宅の収納スペースが不足している場合、屋根裏を屋根裏収納にするのがおすすめです。またエアコンや照明を設置すれば、子ども部屋や趣味部屋に改装することもできます。ロフトよりも天井が高く、床面積も広いため、より快適な空間に仕上がるでしょう。ここでは、ライフスタイルに合わせた屋根裏の活用例をご紹介します。

お部屋としての活用|子どもの秘密基地や大人の趣味部屋、書斎にも

物置・倉庫のイメージが強い屋根裏ですが、リフォームで家族の居住空間に変わります。例えば、子ども部屋です。小さなお子さんがいる場合、屋根裏を秘密基地風の子ども部屋にリフォームすれば、きっと喜ばれるでしょう。梁(はり)にハンモックや縄はしごを吊るすだけでも、立派な子どもの遊び場になります。

ただ、子どもの成長につれ、新設した子ども部屋が不要になることも予想されます。この場合、空いた屋根裏は別の形で再利用するのがおすすめです。例えば、在宅勤務時に活用できる書斎にしたり、夫婦2人のベッドルームや趣味部屋にしたりと、家族のライフスタイルに合わせて用途を変えます。なお、屋根裏の床の一部を撤去し、ロフト化することも可能です。

収納スペースとしての活用

屋根裏を収納スペースとして活用する場合は、倉庫・物置・ウォークインクローゼットなどにリフォームします。もっともポピュラーなのが倉庫・物置化で、1年に一度しか使わない季節物の収納に最適です。例えば、五月人形やクリスマスツリーなど、かさばりやすい季節物は屋根裏に収納すると、下の階の収納スペースに余裕が生まれます。

ただ、屋根裏をウォークインクローゼット化する場合は、リフォーム費用が割高となります。湿気から衣類を守るためにも、さまざまなオプション工事が必要となるためです。屋根裏空間をどう利用するのかによって、工事内容や費用が大きく変わる点を考慮しましょう。

屋根裏リフォームに必要な工事とは?

屋根裏リフォームは、「基礎工事」と「オプション工事」にわかれます。基礎工事は、屋根裏収納あるいは屋根裏部屋、双方に必要な工事です。通常、どの業者に依頼しても工事内容はほとんど変わりません。一方のオプション工事は、空間の利便性・快適性を向上させるための工事で、業者によって対応範囲が異なります。ここでは、屋根裏リフォームの工事内容についてお話します。

屋根裏の基礎工事|換気扇、断熱、階段、はしごの設置

屋根裏リフォームにおける基本工事の内容は、次の通りです。

・空調設備(換気扇)の設置
・断熱工事
・天井開口の増設
・階段やはしごの設置

一般的な屋根裏には、空調設備がありません。空気の循環を生み出し、溜まりやすい湿気を逃がすためにも、換気扇を設置するのが一般的です。屋根裏部屋にリフォームする場合は、屋根の断熱工事も行います。太陽光にさらされる屋根の表面温度は、夏場だと70℃以上になることがあるためです。断熱工事を怠ると室内温度が過度に上昇し、いわゆる“サウナ状態”となります。

なお、屋根裏の断熱工事には、屋根の内側に断熱材を張りつける「天井断熱」と、屋根の表面を断熱塗装する「屋根断熱」の2種類があります。最適な方法については、工事を依頼するリフォーム会社とよく相談しましょう。さらに、既存の天井に開口部分を増設し、屋根裏への入口を作ります。はしごで登るタイプもありますが、安全面を考慮すると階段がおすすめです。

オプション工事:照明器具、コンセント、手すり、窓、床工事

オプション工事の代表例は、次の通りです。

・照明器具の設置
・コンセントの増設
・転落防止用の手すりの設置
・窓の増設
・内装工事(壁紙クロスの張り替えなど)
・ウインチの取りつけ
・床の補強工事

屋根裏部屋にするなら、照明器具の設置は必須です。収納スペースにする場合においても、照明があると細かいものをみつけやすくなります。なお、一般的な屋根裏にはコンセントがないため、同様に増設をおすすめします。屋根裏側の開口部分には、3方向を囲うように転落防止用の手すりを設置できます。屋根裏を子ども部屋にする際には欠かせない工事といえます。

窓は湿気を逃がしたり、日光を取り入れたりするために増設します。リフォーム費用は割高となりますが、窓があるだけ空間の快適性は大きく向上します。床の強度が不足している場合、面積に応じてフローリングやボードで補強します。耐荷重を向上させて、床の底抜けを防止するためです。

「部屋」にするための工事

屋根裏部屋にリフォームする場合、人が快適に過ごすためのさまざまな工事を行います。過去の施工事例をもとに、一般的な工事内容をまとめたのでご覧ください。

・天井開口の増設
・床の造作
・床の補強工事
・階段やはしごの設置
・断熱工事
・空調設備(換気扇)の設置
・窓の増設
・壁紙クロスの張り替え
・照明器具の設置
・コンセントの増設
・エアコンの設置

屋根裏部屋のリフォームでは、基礎工事に加えて電気工事や窓の増設など、居住空間(お部屋)にするための工事が必要となります。特に重要なのが、エアコンの設置です。夏場をはじめ、屋根裏は高温多湿になりやすい空間のため、エアコンは設置したほうが良いでしょう。

「収納スペース」にするための工事

屋根裏収納にリフォームする際は、以下の工事を行うのが一般的です。

・天井開口の増設
・床の造作
・床の補強工事
・階段やはしごの設置
・空調設備(換気扇)の設置

屋根裏部屋リフォームに比べると、工事内容はシンプルです。基本的に内装工事や電気工事が不要となるため、リフォーム費用も安く抑えられます。ただ、床の強度が足りないと判断した場合、下地補強工事が必要です。

荷物の出し入れを頻繁に行うなら、運搬用の「ウインチ」を取りつけるのもひとつの手です。ウインチとは、ロープを使って荷物を上げ下げする巻き上げ機のこと。快適の運搬が楽になるため、必要なら検討してみましょう。

屋根裏リフォームにかかる費用相場と工期

屋根裏リフォームの費用は、工事内容によって変動します。ここでは、屋根裏リフォームにかかる費用相場および工期についてお話します。

部屋にするか収納にするかで費用が異なる

屋根裏リフォームは「屋根部屋にするか」、「屋根裏収納にするか」で費用が異なります。まずは、おおよその費用と工期をみていきましょう。

リフォーム内容  費用相場(6畳)   工期
屋根裏部屋    約70万〜120万円   約1日〜2日間
屋根裏収納    約20万〜35万円    約3日〜7日間

屋根裏が6畳の場合、屋根裏部屋にするなら70万~120万円、屋根裏収納なら20万~35万円が相場です。屋根の断熱工事を行う分、屋根裏部屋リフォームは費用が高額になります。なお、実際の費用は「基礎工費費用+オプション工費費用」で見積もります。以下の表は基本工事とオプション工事、それぞれの費用相場をまとめたものです。

基礎工事の内容         価格相場(6畳)
天井開口の増設・はしごの設置  約10万円
床造作             約12万円(1畳あたり約2万円)
断熱工事            約50万円 **(※)
床の下地補強工事**        約10万円
※現場調査により、下地補強工事が必要と判断した場合のみ

**オプション工事の内容        価格相場(6畳)
照明器具やコンセントの設置・増設**  約2万円
開口手すりの設置          約3万円
換気扇の設置            約3万円
窓の増設              約4万円
エアコンの設置           約10万円
壁紙クロスの張り替え        約5万円
ウインチの取りつけ(手動タイプ)  約10万円
ウインチの取りつけ(電動タイプ)  約30万円

リフォーム内容ごとの目安相場

上記表をもとに、リフォーム内容ごとの費用をシミュレーションしてみます。まずは、屋根裏部屋にリフォームするパターンです。

**パターン1.
屋根裏部屋にリフォーム(6畳)**  
工事内容(費用詳細)       価格相場
天井開口の増設・はしごの設置   約10万円
床造作              約12万円
断熱工事              約50万円
床の下地補強工事         約10万円
照明器具やコンセントの設置・増設 約2万円
換気扇の設置           約3万円
窓の増設             約4万円
エアコンの設置          約10万円
壁紙クロスの張り替え       約5万円
リフォーム費用の合計       約106万円

最低限必要なオプション工事を行うと、リフォーム費用は約106万円かかる見込みです。そのため、100万~150万円の範囲で予算組みしておくと良いかもしれません。続いて、屋根裏収納にリフォームするパターンは以下の通りです。

パターン2.屋根裏収納にリフォーム(6畳) 工事内容(費用詳細) 価格相場 天井開口の増設・はしごの設置 約10万円 床造作 約12万円 床の下地補強工事 約10万円 照明器具やコンセントの設置・増設 約2万円 換気扇の設置 約3万円 ウインチの取りつけ(手動タイプ) 約10万円 リフォーム費用の合計 約47万円

ウインチを取りつけて利便性を高めた結果、リフォーム費用は約47万円となりました。これは必ずしも必要な設備ではないため、取りつけない場合は10万円ほど抑えられます。多めに見積もって、50万円前後を目処に予算組みしてみましょう。

屋根裏リフォームにおける注意事項

屋根裏リフォームには、いくつかの注意事項があります。そもそも収納や部屋を設置できないケースがあるため、各種要件をしっかりと確認しておきましょう。

設置が可能かを事前に調べる

屋根裏リフォームは、屋根と天井板の空間を有効活用するための工事です。肝心の屋根裏が狭すぎたり、人が出入り可能な天井高ではなかったりする場合、収納や部屋を設置できない可能性があります。事前にリフォーム会社などの施工業者に現地調査を依頼し、屋根裏リフォームの施工可否をあおぎましょう。

固定資産税の対象になってしまう場合も

建築基準法において、屋根裏は「小屋裏物置等」と呼ばれます。法律上は物置・倉庫という扱いで、「階」にはみなされません。ただ、リフォームで屋根裏部屋・屋根裏収納にした場合、天井高・床面積が基準を超えると「3階」とみなされます。住宅の延床面積が増えた結果、固定資産税が高くなる可能性があるため気をつけましょう。建築基準法に定められた小屋裏物置等の要件は、以下の通りです。

・対象空間の天井高が1.4m以下
・対象空間の合計床面積が、各階の合計床面積の1/2以内

上記いずれかを超えた場合、小屋裏物置等ではなく「部屋」とみなされます。また、自治体によっても小屋裏物置等の要件は変わります。「階段を設置してはならない」「配線を通してはならない」など、屋根裏の“部屋化”において、避けては通れない要件が散見されます。屋根裏リフォームを検討する際は、固定資産税の対象から外れるように工事範囲・工事内容を調整すると良いでしょう。

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