カンニング竹山「僕がこの患者を介護していたら、彼女にとって死ぬことが幸せと考えてしまったかも」

ABEMAが、ニュース番組『ABEMA Prime』を平日夜9時より毎日生放送している。

7月27日(月)夜9時からの放送では、難病に指定されている筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者から依頼を受け、薬物を投与し殺害したとして、医師2人が“嘱託殺人”の疑いで逮捕された事件に注目。自身もALS患者で4年前に医師から“3年の余命宣告”を受けた田中さん(仮名)にお話を伺いながら、“安楽死と尊厳死”についての議論を展開した。

冒頭、番組MCでお笑い芸人・カンニング竹山は、「最初に聞いた時は、『これは難しすぎるニュースだぞ』と思って聞いていた。ただ、徐々に色んな事が分かってくるうちに、『この事件をきっかけとして、“安楽死”や“尊厳死”を話し合っても、いいんだろうか?』という疑問を抱いています」と自身の胸の内を語った。

そして、6年前にALSを発症し、現在は両腕が不自由になっている患者の田中さん(仮名)は、「非常にショックを受けております。患者さん、医師、スタッフさん、非常に困惑している状態だと思います。日本の制度からすると、『やはりこのような結果になってしまった』という感覚があります」と、当事者の立場から感想を話した。また、世界で行われる“安楽死”の現場を取材した著書『安楽死を遂げるまで』で、講談社ノンフィクション賞を受賞したジャーナリストの宮下洋一は、「今回の亡くなられ方というのは、一見すると安楽死に見えるんですけど、日本ではまだ制度化されていない為に、『これは完全に“嘱託殺人事件”だった』と思っています」と見解を示した。

一方で、女性患者が生前、自身のTwitterやブログで「指一本動かせない自分がみじめでたまらない」「安楽死を認めるべき」などと綴っていた事について、田中さん(仮名)は「患者さんが非常に苦しんでいらっしゃったのをマスコミの報道で見ていたので、理解はできます」と述べ、自身の病気についても「今後どういう風に、ALSが進行していくのか?に、かなりの不安があって。今は治療法がないので、死を悩んだ事があります」と、当事者だから理解できる心境について、話した。

この発言を受け、宮下が「日本では安楽死が認められていないために、精神的に苦しんでしまう部分があるんです。例えば、日本に“安楽死制度”があれば、たとえ最終的に安楽死を選択しなくてもその制度が存在するという事実が“心の寄りどころ”になると言うか。抑止力になったりする事もあるんですね」と、選択肢が存在することで、逆説的ではあるものの、救える命があるのでは?という持論を述べた。

そして、カンニング竹山は、「僕の相方は死にたくないのに若くして死んでいったし、難しい病気でも生きようと一生懸命な人がいっぱいいる。一方で、僕がこの女性の介護をしていたとしたら、“この人にとっては、死ぬことが一番幸せなのではないか”と考えてしまっただろうし、“死ぬのはダメだ”と言うことができたのだろうか」と告白。さらに、「僕の父は、急に倒れて植物状態になり、1週間ちょっとで亡くなった。父は若い頃から“そうなった時は、すぐに死なせろ”と言っていたが、僕も兄貴も姉貴も母親も、人工呼吸器を外すことはできなかった。でも、同じようなことを以前から話していた義理のお父さんのときは、義理のお母さんが『お父さんの考えを尊重しよう』と言って、みんなで外すことを決めた。僕はどっちも正解だと思っているし、臓器提供カードのように決められた通りに実行することが正しいのかは難しい」と自身の経験を基に語った。

一方で、レギュラーコメンテーターでジャーナリストの堀潤は、「なぜ女性患者が”死にたい”と思うような環境を作ってしまったのか。断片的な情報を解読すると、『ここにいる事で、誰かに何か迷惑をかけているんじゃないか?』とか。1人の人間としての尊厳を保てなくなることに対しての『私なんて…』という感情をなぜ拭う事ができなかったのかな?と思います。主治医がいて、在宅でケアをする人がいて。じゃあ、そうした周囲の方々とのやりとりはどうだったのかな?と。そういう事をもう少し丁寧に見ないと、一足飛びに“安楽死・尊厳死”の議論にいってしまうと、何か大事なものを置き去りにしてしまうような気がするんですよね。残念ながら彼女がこういう形で亡くなってしまったので、もう彼女自身の想いを聞く事はできません。それが非常に辛い」と、無念の想いと共に、安易な議論を進むことへの警戒感を話した。

本放送の様子は、現在も「ABEMAビデオ」で配信中。

■『ABEMA Prime』 放送概要

放送日時 :毎週月~金曜 夜9時~夜11時  ※生放送

(C)テレビ朝日

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